
生徒の行動力に脱帽!海外で鍛えられた精神力
MoGとはNPO法人very50(ベリーフィフティー)が実施する探究プログラムです。世界中の社会問題がある国や地域を訪れ、現地の社会起業家が直面している経営問題について、現役社会人や大学生と共に考えていきます。同校では2019年にカンボジアで初めて実施し、その後コロナ禍の中断を経て、2022年から金沢や京都の国内で開催。2024年はネパールに場所を移して、7月29日より7泊8日の日程で実施しました。
この取り組みについて同プログラムを担当する髙橋孝介先生(担当教科:保健体育)に実施の目的をうかがいました。
MoGを実施する目的について教えてください。
髙橋先生 プログラムを通して自分で問題を見つける力をつけてほしいと考えています。また、英語ができるかどうかではなく、英語が通じないからこそどうやって意思を伝えるか、日本ではできないコミュニケーション能力を発掘してほしいです。

実施期間中で生徒に見られる成長について教えてください。
髙橋先生
一番は精神力です。7日間は長いようで短く、その間で集中してアイデアを絞り出すのはなかなか体験できないことです。問題に直面した時にどう乗り切ろうかという精神力が鍛えられたと思います。
自分たちが作り出した製品をカトマンズのホテルに売り込みに行き「売れました!」と報告があったときは感動しましたね。また販売会場にミス・マルタの方がいて、物怖じせず呼び込みをして、折り紙体験に参加してもらうなど実行力のすごさに感心しました。

今後の展望を教えてください。
髙橋先生 very50が提案してくれる内容がとても面白く、今回はネパールでしたが別の国でも実施したいです。例えばベトナムやインドからは日本に多くの方が働きに来ています。そうした日本と縁が深い国にこちらから出向いて、相手の国を知ることも大切だと考えています。
竹製品、象の糞からできた再生紙販売に挑戦
ネパールMoGに参加したのは中学3年生から高校2年生の41名。参加生徒はネパール産の竹を素材とする商品を扱う「Bamboo Bazar(バンブーバザール)」、象の糞(繊維質)から作った再生紙を扱う「Ecoorb(エコーブ)」、売れずに大量に廃棄される衣類の再利用を目指す「Rekriti(リクリティ)」の3つの企業チームに分かれて活動します。
今回はバンブーバザールチームのI.K.さん(高校1年生)とエコーブチームのR.K.さん(高校2年生)に現地での体験をうかがいました。

事前に対象となる企業の提示があって選ぶということですが、この企業を選んだ理由は?
I.K.さん 日本にも竹が多くあり身近なものなので、日本人ならではのアイデアが出せると思いました。またその企業はネパールの社会問題にもなっている女性の雇用にも注目しており、ただモノを売るだけではないという姿勢にも興味を持ちました。

R.K.さん エコーブは3つの企業の中でも一番経営難だったんです。企業の方も販売方法に困っていたので、やりがいがあると感じました。
どのように取り組んだのでしょう。
I.K.さん 僕たちのチームはプロダクト班とプロモーション班に分かれ、最後はホテルに製品を売り込むことを目的としました。またバンブーバザール社には顧客データがないことも問題になったので、それも解決すべくネットでアンケートフォームを作成し、販売会場のマーケットで声をかけながらアンケートに答えてもらいました。二人目位までは声をかけるのも緊張しましたが、僕は全体のリーダーでもあったので、みんなが頑張るから自分もやらないとと思い、率先して声かけしましたね。
R.K.さん 僕たちは企業PVをつくる宣伝班と売り込みする営業班、ワークショップ班に分かれて活動しました。エコーブは紙を作る技術はあっても加工するのは別企業。また掘っ立て小屋のような工場のため、天候次第で生産性も左右されるなどいろいろ問題が多かったのです。そこでまずはワークショップで再生紙を使って折り紙をつくり、体験してもらうことで新しい市場を開拓することに焦点を絞りました。

学校では得られないMoGで得た学び
時間も限られていてしかも外国。大変だったことも多いと思います。
I.K.さん 事前にZoomで話すこともありましたが、現地に着いてから分かる問題もありました。販売会で使おうと思っていた竹が届かないかもしれないとか、そういうこともありみんな焦っていましたが、僕は昨年も経験したので、最終的にはみんな気持ち切り替えてしっかり成功に持っていけると思っていました。
R.K.さん 実はワークショップをすることは決まっていたのですが、どういう形で行うか前日まで議論したほか、当日は不測の事態も起こって計画通りにはできませんでした。その中でも折り紙のワークショップにしたことで、日本の高校生が外国企業とコラボという情緒的価値は生まれたと思います。実際ネパールは日本で働いていたという人も多いせいか、会場でも想像以上に日本に興味を持って来てくれました。

最終日は活動の集大成となるファイナルプレゼンテーションがありましたね。
I.K.さん 僕を含めて3名でスライド制作をしましたが、「終わらないかも」というギリギリの状態で徹夜をしてなんとか間に合わせました。アンケートの分析も行ない、バンブーバザールの会社の方も、顧客データの必要性も分かってくれたようです。日本の高校生がここまでやったこと、新商品につながるデータになったとお礼を言われました。
R.K.さん もともとはワークショップの継続を提案する予定でしたが、折り紙ワークショップを現地の人だけで行った場合、今回ほど人が集まるかという疑問が湧き、最後に提案を見直し、まとまったのが夜中の12時でした。最初はチーム内にも熱量の差がありましたが、最後はスライド作りも積極的になり、誰一人さぼることなくプレゼンに臨みました。

MoGを経験してどんな学びがありましたか。
I.K.さん MoGには学校とは異なる、自分とは違う考え方や価値観を持った人との出会いがあります。そしてさまざまな経験を通し、他者を知って自分を知ることができるきっかけになりました。参加したことで成長できたと自分でも思えますし、自分が動くことで周りも動くのだと実感することで積極性も養われたと思います。
R.K.さん やはり海外は甘くないなと思いました。また参加するのであればチームビルディングを学ぶ上で、絶対リーダーを経験すると良いと思います。今回リーダーを担当し、メンバーそれぞれの力を見極めて、どう活躍させてあげるかを考えるのはとても大変でしたが楽しかったですし、手応えを感じる役職だと思います。

編集後記
I.K.さんは中学3年の時に参加した京都MoGが人生の分岐点になり、将来は外資系のコンサルティング職に就きたいという目標も決まったそうです。またR.K.さんは、企業の方に認めてもらい、最後の2日間は一番達成感を感じ楽しかったと話してくれました。外国で社会課題に真剣に取り組むことはなかなか得られない体験です。MoGの7日間は自分自身を大きく成長させる大切な時間になっていました。
イベント紹介
イベント名 | 実施日 | 備考 |
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2026年度入試学校説明会・体験会 | 2025年3月29日(土) | 来校型 |