ゼミの探究を実践へ!生徒が自ら学びを選択する修学旅行

昭和学院中学校・高等学校
昭和学院中学校・高等学校(以下、昭和学院)では、高校2年生が探究教育の一環として「生徒がプランニングする修学旅行」に取り組みました。興味・関心ごとに分かれたゼミ活動と連動し、行き先での学び方やプログラム選択まで生徒が主体的に関わりました。他校ではあまり見られない挑戦を通じ、生徒たちは何に取り組み、何を学んだのでしょうか。先生と準備委員の生徒にお話を聞きました。

生徒の探究が旅につながる━修学旅行に込めた思い

昭和学院の探究教育を担当し、高校2年生の担任でもある髙田瑞樹先生に「生徒がプランニングする修学旅行」の背景と狙いをうかがいました。

髙田瑞樹先生

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・担当教科:国語科
・役職:高校2年生担任、探究(マイゼミ)では観光社会学を担当

今回の修学旅行は、どのような経緯で始まったのでしょうか。

髙田先生 校長から「探究と修学旅行を結びつけられないか」という提案があったことがきっかけです。本校では高2・高3で「マイゼミ」という探究の授業を行っており、生徒は自分の興味・関心に応じて所属するゼミを決め、学びを深めています。その探究を机上で終わらせず、実際の「アクション」につなげたいと考えました。

具体的にはどのような形で実施されたのですか。

髙田先生 行き先は沖縄で、初日の午後と2日目午前を中心に、ゼミのテーマに関連する複数のプログラムを用意しました。観光社会学や平和学習などの「学問探究」として新設した4つのゼミを含めた約10種類の分野に対し、生徒は自分の関心と照らし合わせながら参加プログラムを選択。多いテーマで約40人、少ないテーマでは約10人で行動しました。
そのほか、2日目午後はマリン体験やシーサー作りなどの体験活動、3日目はジャングリア、最終日はクラス別行動をしました。

この取り組みを通して、どのような力を育んでほしいとお考えですか。

髙田先生 探究のテーマはどうしても机上の空論になりがちです。しかし、実際に現地に行き、話を聞き、自分の目で見て判断する経験は、学びを一段深めます。自分で課題を設定し、限られた時間の中で行動する経験が、今後の進路選択などにもつながってくれたら嬉しいです。

生徒が旅を組み立てる!準備委員の挑戦

修学旅行を支えたのが、各クラスから選出された修学旅行準備委員です。委員長、副委員長に、準備の過程や感じたことをうかがいました。

A.M.さん(高校2年生)

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・役割:修学旅行準備委員・委員長
・委員長になった理由:修学旅行に主体的に関わり、いい思い出を作りたい
・修学旅行で楽しかったこと:マリン体験

T.A.さん(高校2年生)

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・役割:修学旅行準備委員・副委員長
・副委員長になった理由:高校の一大イベントにしっかり関わり、特別な体験にしたい
・修学旅行で楽しかったこと:ジャングリア

準備委員として、どのような活動を行いましたか。

A.M.さん クラスごとに選出された委員と一緒に、調べ学習の内容やトピックスを分担しました。沖縄の歴史や世界遺産についてまとめた内容は、しおりにも記載されました。

T.A.さん 主にしおりの作成やルールづくりを担当しました。日程や大枠のプログラムは先生が示してくださいますが、持ち物や注意点などは委員で話し合って決めました。冬休み前から集まり、役割分担をして、休み明けまでにそれぞれが担当部分を仕上げました。

準備の中で苦労したことはありますか。

A.M.さん 出発前に全体へ説明する機会があり、Zoomで読み合わせをしました。私は人前で話すのが得意ではないので緊張しましたが、委員として伝える責任があると感じ、準備を重ねました。

T.A.さん 細かい質問が多かったことです。持ち物や服装について「どこまで認めるか」など、判断が難しい場面もあり、準備委員で何度も議論しました。

やりがいを感じた瞬間はありましたか。

A.M.さん みんなが真剣に話し合い、行事に向き合っている姿を見ることができたことです。準備を通して、自分たちでつくる修学旅行だという意識が強まりました。

T.A.さん しおりが完成したときです。試行錯誤しながら内容を調整し、「この行事に向けて真剣に取り組んできた」と実感できました。

知識が「生きた体験」に変わる!現地での学び

現地ではどのようなことを学びましたか。

A.M.さん 私が所属した観光社会学のゼミでは、沖縄で活動されているライターのセソコマサユキさんにお話をうかがいました。1日目に直接お会いし、沖縄の観光や地域の魅力をどう発信していくかについて学びました。

1日目プログラム別活動「観光社会学」
1日目プログラム別活動「観光社会学」の様子。セソコマサユキさんとの対話を通して、社会の「もの・こと」に焦点を当て、自分と社会について考えました

T.A.さん 私は芸術創造のプログラムに参加し、沖縄戦を題材にした平和劇のワークショップを体験しました。脚本家の方と一緒に、相手の立場を想像することの大切さについて学びました。

現地で特に印象に残っている活動は何ですか。

A.M.さん 那覇のバスターミナルでのフィールドワークです。観光客や職員の方にインタビューを行い、旅行者が何に困り、どんな質問をするかを調べました。沖縄ではバスの利用方法など、こちらとは違う点も多く、実際に行ってみないと分からないことがたくさんあると感じました。勇気を出して声をかけたことで、生きた情報を得ることができました。

2日目プログラム別活動「観光社会学」
2日目プログラム別活動「観光社会学」の様子。現地調査を通して、観光客の行動や地域の課題について考察しました

T.A.さん 沖縄の風土や自然の違いが強く印象に残っています。建物の雰囲気や植生、空気感まで、関東とは全く異なりました。実際に足を運ぶことで、生活圏が違う人々の視点を少しでも想像できた気がします。

修学旅行全体を通して、新たに発見したことはありますか。

A.M.さん セソコさんから「100年後も沖縄の魅力を伝えたい」というお話を聞き、観光は単なる消費ではなく、地域や人を思いやる気持ちが大切だと学びました。オーバーツーリズムなどの社会課題とも結びつけて考える重要性を実感しました。

T.A.さん 平和劇の体験を通して、他者理解の大切さを改めて実感しました。人と協力しながら一つの作品をつくる中で、相手がどう考えているのかを想像し、自分の感情を整理することが必要でした。これは今後の学校生活でも大切にしていきたいと思っています。

1日目プログラム別活動「芸術創造」
1日目プログラム別活動「芸術創造」の様子。「他者への理解(エンパシー)」をキーワードに 相手の心を動かす手法と表現を学びました

修学旅行を通して育った力、そして未来へ

修学旅行を通して、生徒たちの成長をどのように感じましたか。

髙田先生 現地での行動力が大きく伸びたと感じています。事後のアンケートでも「進路を考えるきっかけになった」という声が多く、学びが将来につながる実感を得ているようでした。

今回の経験を、今後どのように活かしていきたいですか。

A.M.さん 沖縄で活動されている方のお話を聞き、地域や社会の課題と向き合う視点を持つことの大切さを学びました。私は語学や国際分野に興味があります。今回の経験を通して、世界と日本をつなぐような仕事に携わりたいという思いがより強くなりました。

T.A.さん これからも、人と関わる場面では「相手はどう感じているか」を意識して行動したいです。私は音楽が好きで、曲づくりにも興味がありますが、単なる自己表現にとどまらず、その土地の歴史や文化を深く理解した上で、想いを乗せて発信できる表現者になりたいと思っています。

受験を考えているご家庭へメッセージをお願いします。

髙田先生 本校には複数のコースがあり、それぞれの特色を生かした学びがあります。探究活動を軸に、主体的に学ぶ環境を整えています。受け身ではなく、自ら問いを立て、行動したいという生徒には、ぜひ挑戦してほしいと思います。

A.M.さん 疑問に思ったことをそのままにせず、問いを立てて深く考えられるのが昭和学院の魅力です。探究を通して、自分の世界を広げてほしいと思います。

T.A.さん マイゼミでは10以上のゼミがあり、興味のある分野を徹底的に学ぶことができます。自分の「好き」や「気になる」を大切にしてほしいです。

編集後記

取材を通じて感じたのは、生徒たちの言葉や行動に滲む「自分たちで考え、動く」姿勢の力強さでした。事前学習や現地での体験を通して、学びを自分ごととして捉え直す様子が印象的でした。ぜひとも来校型イベントに参加して、昭和学院の魅力を体験してほしいと思います。

イベント情報

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