部活を通じて実践する「探究」の取り組み

昭和学院中学校・高等学校
昭和学院中学校・高等学校(以下、昭和学院)では、「社会理解と自己理解」をテーマに、生徒の関心を起点とした探究教育に取り組んでいます。中学校のバレーボール部においても、仲間と協働しながら自ら学びを深める探究教育の理念を実践しているとのこと。そこで、バレーボール部の生徒たちと指導を担う顧問の先生に話をうかがい、生徒たちが練習メニューを自ら考え実行する取り組みが、どのような成長や成果をもたらしているのかを紹介します。

主体性を育む昭和学院中学バレーボール部

中学バレーボール部の顧問であり、昭和学院の探究教育を牽引する竹澤先生に、探究と部活動のつながりについてうかがいました。

竹澤陽介先生

プロフィール画像

・担当教科:社会科
・役職:高校3年生副主任、GAコース担任、GAコース長、探究活動研究委員会リーダー
・顧問:バレーボール部(2年目)

昭和学院の探究教育で目指すものや、部活動との共通点を教えてください。

竹澤先生 本校の探究教育では「社会理解と自己理解」を軸に、「考動力」「対話力」「挑戦力」「自らを律する力」を育むことを目指しています。部活動もまさに探究そのもので、「全国優勝」という目標があったとしても、そこへ至る道筋は一つではありません。自分たちの状況や環境を踏まえ、答えのない問いにチームで挑むプロセスは、探究活動と全く同じです。

バレーボール部では、生徒が練習メニューを考えると聞きました。

竹澤先生 「今、自分たちに必要な練習は何か」を生徒自身が考え、話し合って決めます。私は基本的に第三者として見守り、相談があれば応じるというスタンスです。たとえ勝つための“最適解”があっても、それを与えてしまえば、自ら考える力は育ちません。
大事なのは、プレーの結果そのものではなく、そこに至るプロセスです。例えば、チーム内でお互い言いたいことがあるのに言えていないなと感じたら「今のままでいいの?」と問いかけます。でも、本人たちが「今はそれでいい」と思っているなら、それも一つの答え。最終的には、自分の思いをちゃんと言葉にして表現できるようになってほしいと考えています。

練習中の様子
部員たちは創部からずっと「全部全力」を目標に活動

生徒の姿勢にも変化が見られますか。

竹澤先生 入部当初は「お互い傷つけちゃいけない」と遠慮が先に立ち、言いたいことを言えない雰囲気がありましたが、今では「言い合える関係こそ価値がある」と自ら気づき、対話が生まれるようになっています。練習内容についても、私の問いかけに対してしっかりと理由を説明できるようになり、精神面・論理面の成長を感じています。

コートで実践する「生きた探究活動」

中学バレーボール部の3年生4名に、生徒主体で行う練習づくりの実態や、それによって得られた気づきや成長についてうかがいました。

A.S.さん(中学3年生)

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・ポジション:センター
・部での役割:キャプテン
・入学理由:2人の姉も昭和学院に在学しており、施設の充実ぶりに魅力を感じたため
・入部理由:体験入部の際に見た高校生の練習する姿に憧れを抱いたから

H.N.さん(中学3年生)

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・ポジション:セッター
・部での役割:キャプテンを補佐
・入学理由:自由な校風の私立学校として親の勧めもあり志望。家からも近く、制服も可愛かったため
・入部理由:人気漫画『ハイキュー!!』をきっかけに興味を持ち、体験入部で憧れが強まったため

R.S.さん(中学3年生)

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・ポジション:レフト
・部での役割:副キャプテン
・入学理由:幼稚園から昭和学院に在籍。体育館をはじめ、部活動に打ち込める環境が整っていたため
・入部理由:高校生との合同練習を見て、カッコいいなと思ったから

C.K.さん(中学3年生)

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・ポジション:リベロ
・部での役割:チームを支える縁の下の力持ち(欠席者の把握も)
・入学理由:小学校から昭和学院に在籍。中高一貫の楽しそうな校風に惹かれたため
・入部理由:高校生の活躍している姿を見て、自分もそうなりたいと憧れたから

練習メニューは、どのように決めていますか。

A.S.さん 部活後や昼休みに、3年生を中心に「今の自分たちに必要な練習は何か」を話し合います。先生から「こういう練習もあるよ」と選択肢を広げてもらうこともありますが、どの練習を選ぶか、最終的には私たち3年生で決めます。私たちの代は先輩がいなかったので、ゼロから新しい部を作る気持ちで、自分たちで考えるのが当たり前でした。

H.N.さん 練習中にも「このやり方ちょっと違うかも?」と思ったら、そこで一度立ち止まって、別の練習方法を提案することもあります。やってみて合わなければ、またみんなで話し合って修正する、その繰り返しですね。正解が一つではないので、柔軟に考えるようになったと思います。

練習中の様子
キャプテンから指示をうける後輩たち。遠回りだと分かっていても、自分たちで考えて試してみる。そのプロセスの一つひとつが、成長につながっている

自分たちで練習を考える中で、どんな気づきや成長がありましたか。

A.S.さん 入学当初は人見知りが激しく、人と話すのが苦手でした。でも、部活でコミュニケーションを重ねるうちに自分の意見を伝えることに抵抗がなくなり、今ではクラスで委員長を務めるなど、積極的に前に出られるようになりました。

H.N.さん 練習試合の様子を動画で撮ってくれる保護者の方がいて、それを家で見返すことがあるんですが、「このスペース空いているな」「ここが弱点かも」と気づけるようになりました。そういう視点が自然と身についたのは、自分たちで練習を考える時間があったからこそだと思います。

R.S.さん 先生から見た視点だけでなく、コートの中でプレーしている「自分たちでしか分からないこと」に気づけるようになりました。それに伴い私自身の意識も大きく成長しました。もともと消極的で挑戦することが苦手でしたが、副キャプテンという立場になり、「自分が一歩引いていたらチームも後ろ向きになる」と感じるようになりました。今では「何事も挑戦してみよう」という気持ちでいろんなことに向き合っています。

C.K.さん 部活の仲間を通じて、少しずつコミュニケーション能力が上がってきたのを実感しています。前はあまり自分を出せなかったけど、今では「家の次に素の自分を出せる場所」になり、自然に会話できる場面も増えました。体力もついて、風邪もほとんどひかなくなりました(笑)。

体育館で先生と生徒の集合写真
顧問の先生と。練習メニューを考える時間は、今の自分たちに何が必要かを話し合う大切な時間に

中学総体には、どんな想いで臨みましたか。

A.S.さん 対戦相手は、かつて合同チームを組んでいたこともある、互いをよく知るチームでした。だからこそ、これまで培ってきた私たちのチームの良さを全て出し切ることを目指しました。

H.N.さん 「このチームで戦えて本当に良かった」と全員が心から思えるような試合にしようと心に決めていました。

R.S.さん 私たちがチーム創設から大事にしてきた「明るく元気なバレー」を貫いて、悔いのない大会にしたいと考えていました。

C.K.さん 前回大会で負けてしまった相手との対戦でもあったので、リベンジを果たして次のステージへ進むことを目標に掲げていました。

中学バレーボール部
中学バレーボール部 市川市・浦安市中学校総合体育大会にて

昭和学院で伸びる私たちの未来

生徒の皆さんに、バレーボール部の経験を通じてどんな力を身につけてほしいですか。

竹澤先生 「勝てるチーム」を目指しているわけではありません。大切なのは、どこに価値を置き、どういうプロセスで取り組んでいくか。仲間と対話を重ねながら、自ら課題を見つけ、解決に向けて行動する。そうした経験が、将来社会に出たときにも通用する力になると信じています。バレーボールというツールを通じて、自信を持って次のステージへ進むための「自信の根拠」を育んでほしいです。
きっかけは何でもいいんです。「バレーボールが好き」でも「友達がいるから」でも。楽しみながら、自分を成長させたいという想いがあれば、昭和学院はきっと応えてくれます。

昭和学院の魅力や、後輩へのメッセージがあれば教えてください。

A.S.さん 施設が整っているのはもちろんですが、特にGAコースはいろいろなことに挑戦して自分の可能性を広げられる場所です。何か新しいことに挑戦したい人には、とても良い学校だと思います。

H.N.さん 校内の雰囲気がとても明るくて、いつもワイワイしているのが好きです。 私は将来なりたい職業があるので、部活で得た力を活かして、高校ではその夢に向かって頑張りたいです。

R.S.さん 環境がとても充実していてコースもたくさんあります。自分でやりたいことを見つけて、それに向かって挑戦できるところが昭和学院の魅力だと思います。

C.K.さん 設備は充実しているし、吹き抜けもあってすごく明るい校舎です。特に図書館が広くて私のお気に入りです。先生方も優しくて、元気な方が多いです。

生徒へのインタビューの様子
充実した環境の中で将来の夢や新しい目標を見つけられる学校と語る部員たち

編集後記

取材を通じて感じたのは、生徒たちの言葉や行動に滲む「自分たちで考える」姿勢の力強さでした。模範解答がない中で、お互い「どうなりたいか」というゴールから逆算し、何をすべきかを模索する「探究教育」を部活動にも取り入れる活動は非常にユニークです。ぜひとも来校型イベントに参加して、昭和学院の魅力を体験してほしいと思います。

イベント情報

イベント名 日時
第1回入試説明会 2025年10月11日(土) 14:00~16:00
第2回入試説明会 2025年11月8日(土) 14:00~16:00
第3回入試説明会 2025年12月13日(土) 14:00~16:00