生徒の職業観を一新! 社会と繋がる“起業ゼミ”
inter-edu’s eye
ドルトン東京学園中等部・高等部(以下、ドルトン)では、探究ラボ(ラボラトリー)の時間を活用して中学生向けの「起業ゼミ」を行っています。ビジネスを立ち上げるノウハウを学ぶこのゼミでは、課題の発見や解決をする力を培うことが目的です。具体的な学習内容や10月9日に実施された第3回目のゼミのようすをお届けします。
校外からの講師が教えるリアルな起業への道
「起業ゼミ」の講師を務めるのは、新規事業育成を手掛けるガイアックススタートアップスタジオ(以下、ガイアックス)のスタッフです。今回行われているゼミ第1期(9月末~11月末)は全8回。WEB会議ツールZOOMの活用と直接対面での講義を組み合わせ、中学1年生と2年生の参加希望者にリアルな起業を実現するまでのプロセスを伝授します。
目指す先は社会が求めるビジネス
ゼミでは現代社会に潜む課題を考察して、それを解決するための事業アイディアを生徒一人ひとりが打ち出していきます。もちろん机上の空論ではなく、本当にその事業アイディアが可能か、また社会で求められているのかなど、多くの課題をブラッシュアップをしながら突き詰めます。全8回のゼミを終えて生徒の事業プレゼンテーションで良いものがあれば、ガイアックスが出資を検討するとのこと。はたして生徒たちからはどのようなアイディアが出てくるのでしょうか。
アイディアの仮説をインタビューで検証
10月9日に行われた第3回の「起業ゼミ」では、打ち出した事業アイディアの検証がテーマでした。その方法は自分が考えたビジネスの顧客になり得る人物に自らアポイントを取り、インタビューをするというものです。
生徒たちは事前に友人や保護者、さらにはツイッターやFacebookなどで対象の業界に詳しい人物にアポイントを取り、インタビューに備えていました。
ゼミの前半では、講師がインタビューを実演することで会話のポイントを押さえていきます。全体の流れや質問の仕方、情報の引き出し方について学びました。
講師のインタビュー実演をもとに、生徒たちはインタビューをする質問事項の作成に取り掛かります。紙に書いたり、自分のノートパソコンにまとめたりと作業方法はさまざまです。講師陣に相談をしながらじっくりと考察をしていました。
ゼミの後半は、生徒たちが一斉にインタビューを開始。ZOOMや電話、もしくは対面にて30分ほどのヒアリングに挑戦しました。今後のゼミでは、インタビューを繰り返し行い、さらにアイディアをブラッシュアップしてから、繰り返されるプレゼンテーションで各自の成果発表をする予定です。
「起業ゼミ」は学校と社会を繋ぐ第一歩
「起業ゼミ」の仕掛け人である木之下瞬先生から、ゼミの経緯や今後の展望についてうかがいました。
インターエデュ(以下、エデュ):「起業ゼミ」を開講した経緯を教えてください。
木之下先生:学校を閉じられた場所ではなく、社会と繋がる場所にしたいという思いから今回のゼミを開講しました。生徒が中学生という早い段階から実社会のビジネスに触れ、また起業家などに出会うことで、起業も含めた多様な進路や生き方の幅を広げてほしいと思っています。
エデュ:ゼミを受講した生徒たちに何か変化はありましたか。
木之下先生:ゼミでは教員やスタッフが必要以上に生徒のケアを行わないので、自ら考えて動かないと何も進めることはできません。そのため、生徒たちからは「とにかく動く」という姿勢が見え始めました。自分でスケジュール管理をしたり、講義より早くインタビューに取り掛かり、自分のやり方と講義の違いを比較する生徒もいましたね。
エデュ:今後の展望について教えてください。
木之下先生:本校での教育の核となる「主体的に学び、探究・挑戦し続ける姿勢」を身につけた生徒たちが、学校生活を通して人間性を深めながら本来持つ力を伸ばしていってほしいと思います。今後は、学校自体がさまざまな企業人や学生が自由に出入りするワーキングスペースのような場所となり、社会と繋がっていくことを目標としています。
自分で考えて学びを深めるドルトン生
「起業ゼミ」に参加する中学2年生の佐藤さん、竹迫さん、中学1年生の中西さんにお話しをうかがいました。
エデュ:「起業ゼミ」に参加しようと思った理由は何ですか。
佐藤さん:起業は経営学や専門知識を学んだ特別な人がすることだろうという考えがあったのですが、試しに「オンライン起業ゼミ」を受けてみたら、アイディア次第で誰にでもチャンスはあるのではないかと考えが変わり、長期のゼミにも参加しようと思いました。
竹迫さん:将来は起業をしてホテルを経営したいと考えているので、「起業ゼミ」の知らせを聞いてすぐに参加を決めました。必要な知識を増やして、大学生の間には起業をしようと思っています。
エデュ:ゼミではどんなことを学びましたか。また、実現したいゴールについて教えてください。
中西さん:起業の基礎や必要なスキルについて学べていると思います。将来はアパレル系の会社の起業が目標なのですが、今回のゼミでは顧客について考える機会が多く、洋服を手に取った人が幸せな気持ちになる洋服づくりを目指したいと思うようになりました。
佐藤さん:「起業ゼミ」では、世の中の人が困っていることや求めていることを敏感に捉えて具現化していける力が磨けます。自分のアイディアで人の役に立つものを生み出し、自分の力で生きていくことができる人になりたいと考えています。
エデュ:これまで楽しく学んできた校外活動や特別授業はありますか。
竹迫さん:去年の10月頃に行った「ブリティッシュヒルズ英語合宿」が強く印象に残っています。2泊3日を英語漬けで過ごして、グループでゲームをしたりスコーン作りをしたことが、とても楽しかったです。また、図書委員会として学校のそばにある「まちライブラリー成城」のイベントに参加をしたことも忘れられない体験です。利用者が読書を楽しめるように、さまざまな企画を練って実現させたことは、とてもやりがいがありましたね。
中西さん:入学して間もない頃の特別授業で、オンラインを活用した生徒主催の催しがありました。新型コロナウイルスの流行でまだ一度も登校ができていない時期だったので、みんなと交流の場が作れて嬉しかったです。生徒同士で雑談会やゲームなどを自由に主催できてとても盛り上がりました。
エデュ:未来の後輩となる受験生の皆さんへメッセージをお願いします。
佐藤さん:少人数制なので、一人ひとりの顔が見える学校です。学びに関して最大限に僕たちの意思を尊重してくれる環境なので、意欲のある人はぜひともドルトンへの入学を目指してください!
竹迫さん:先生との距離がとても近いのがドルトンの魅力です。私は放課後になるとラーニングコモンズというオープン図書室で、いつも先生に勉強を教えてもらっています。素敵な先生たちや仲間たちに囲まれながら自分らしく学べる本当に素敵な学校ですよ。
中西さん:クラスとは別に、学年混合の「ハウス」という集まりがあるので、他の学年とたくさん交流ができるのが他の学校にはない素敵なところです。みなさんと一緒に学べる日を楽しみにしています!
編集者から見たポイント
「学校は社会に出る前の準備をする場所」とするドルトンは、生徒たちが試行錯誤を重ねながら、社会で生きる練習ができる学び舎でもあります。「起業ゼミ」での学習活動は、まさに生徒が社会と繋がって自分の力を試す場になっていると感じました。座学として講習を受けるだけでなく、アポイントやインタビュー、さらには最後のプレゼンテーションを実践する参加型のプログラムは、確実に生徒たちの力を伸ばしてくれる貴重な学びとなることでしょう。
ドルトンが掲げる学習者中心の教育メソッド ≫イベント日程
イベント名 | 日時 |
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過去問題解説 | 2020年12月5日(土) 10:00~12:00 |
過去問題解説 | 2020年12月19日(土) 10:00~12:00 |
入試対策 | 2021年1月9日(土) 10:00~ |
Web個別相談 | 2021年1月9日(土) 10:00〜12:00、13:30〜15:30 |
連載コンテンツ
生徒と先生が一丸となって行う“新しい学校づくり”
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社会課題を解決するビジネスプラン開発に挑戦
2022年7月26日
授業風景
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2021年8月24日
授業風景