ロボット工学の世界的権威が語る「工学と創造」

ロボット工学の世界的権威が語る「工学と創造」

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瀧野川女子学園中学高等学校(以下、瀧野川女子)には、中高6年間全生徒必修の独自プログラム「創造性教育」があります。創造力と起業家精神を育むプログラムのアドバイザーは、瀧野川女子の理事を務める廣瀬茂男先生。ロボット工学の世界的権威で、副校長・山口龍介先生の大学院時代の恩師でもあります。そこで今回は、廣瀬先生と山口先生の対談を実施。工学の醍醐味や創造する楽しさを語り合っていただきました。

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一流の技術者が語る工学の魅力

工学の醍醐味

山口先生:先生が専門とする工学とはどのような学びでしょうか。

廣瀬先生:科学が追究して解明していく学問なら、工学は解明した知識を使って人が使えるもの・人の役に立つものを創る学びです。生み出したもので課題を解決し、社会を幸せにすることが工学の醍醐味です。

廣瀬茂男先生
廣瀬茂男先生。工学博士。四足歩行ロボットや水陸両用蛇型ロボット、地雷探査ロボットなどを開発。東京工業大学名誉教授。株式会社HiBot会長。極限環境ロボティクス研究所所長。

山口先生:私が東京工業大学の院生だった頃、廣瀬先生の研究室では多くの企業と共同研究をされていました。

廣瀬先生:ロボットは使うものであり、実際にロボットを必要としている企業と組んで研究することは理にかなっていますから。そして、研究室の学生は実社会でロボットがどのように使われるのかを知り、就職する前から現場のことを学べます。

山口先生:共同研究を通して各分野に興味を持ち、ロボットメーカーや自動車メーカーに研究者として就職し、活躍する先輩がたくさんいらっしゃいました。

廣瀬先生:研究室で技術開発に携わっていますから、企業でもすぐに活躍できるのです。

山口先生:実践的な学びをしているから工学部が就職に有利だという特徴は、世間であまり知られていないように感じます。また、世に出ていない新しいものを作り、起業する人が多いことも工学部の特徴です。

廣瀬先生:価値あるものを生み出せれば仕事になります。それに、本当に自分がやりたいことをやるなら、会社を作ることが一番いいでしょうね。昔に比べれば起業しやすくなったので、いまは恵まれた時代と言えるでしょう。

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創造と起業

瀧野川女子副校長の山口先生(右)
瀧野川女子副校長の山口先生(右)

山口先生:会社とは新しい価値を生み出して社会に貢献するものであり、工学と共通していますよね。廣瀬先生はこれまで2つの会社を設立されました。

廣瀬先生:2004年にベンチャー企業・HiBot(ハイボット)を立ち上げました。研究室の卒業生や、イタリアとブラジルの留学生から「ぜひ一緒にやりましょう」と誘われたことがきっかけです。

山口先生:廣瀬先生の研究室には世界中から優秀な学生が集まっていました。工学部にはインターナショナルな環境があり、世界を舞台に活躍するチャンスに満ちていることも多くの方にぜひ知っていただきたいです。

廣瀬先生:確かにそうですね。

山口先生:2020年には極限環境ロボティクス研究所・通称ヒーロー研(Hyper-Environmental Robotics)を創業されました。いま、会社ではどのような開発をされていますか。

廣瀬先生:HiBotではフロートアームという、蛇型ロボットのアームの製品化を進めています。ヒーロー研では、福島の廃炉作業で使う全長14mの長大な蛇型アームとか除染水の中で作業するロボットなどを作っています。

山口先生:蛇型ロボットといえば廣瀬先生の研究の代名詞です。

廣瀬先生:蛇型ロボットを初めて作ったのは1972年です。柔らかいロボットを作ろうと、蛇の動き方の解明に挑みました。蛇がどんな体形で、筋肉がどう働くと、どのぐらいの力で地面を押すのか。これらの仕組みを計算して実際の蛇の動きで確かめたところ、計算通りであることを確かめ、その後蛇と同じ原理で動くロボットを製作しました。蛇と全く同じ原理で進んだロボットはこれが世界で初めてでしたね。

山口先生:世界中の技術者を驚かせ、国際会議では大好評となりました。

廣瀬先生:水陸両用の蛇型ロボットは、いま福島原発の廃炉作業で活用されています。

山口先生:実用的なロボットをずっと研究されていますが、先生にとって実用性は大きな意味を持っているのでしょうか。

廣瀬先生:私は「工学は役に立ってこそ」と考えます。日本は地震など自然災害が多いので、災害に対応できるロボットをどんどん作るべきだと長年主張していて、この考えの下、ヒーロー研を設立しました。

創造性を育む

山口先生:文部科学省は、工学分野を目指す女子学生が増えないと将来エンジニアが足りなくなると警鐘を鳴らしています。工学に興味のある女の子はきっとたくさんいるのに、きっかけが足りないのだと思います。

廣瀬先生:工学とは現実世界に根ざした工夫の積み重ねです。このため、子どもの頃から多様な経験をすることが、きっかけに繋がるでしょうね。「不便だな」と感じたら、「じゃあどうすればいいかな」と考える。作ったら改良して試行錯誤する。その繰り返しです。家の手伝いなど、身近なアクティビティの中に考えるネタは無数に転がっていますよ。

山口先生:本校では、独自プログラム「創造性教育」で中学生がロボット制作に取り組みます。授業を見ていると、作業に没頭する女子生徒はたくさんいて、工学への興味に性別の差なんてないのでは?と思います。

中2生は創造性教育でエンターテインメントロボットコンテストに挑戦。廣瀬先生は創造性教育のアドバイザーとして、学校で行われる「創造性教育発表会」などに参加しています。
中2生は創造性教育でエンターテインメントロボットコンテストに挑戦。廣瀬先生は創造性教育のアドバイザーとして、学校で行われる「創造性教育発表会」などに参加しています。
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廣瀬先生:私も創造性の育成に携わっていますが、研究室で一緒に作業するのではなく、講義で創造性を育むことは本当に難しい。ですから瀧野川女子の創造性教育のように、実践を交えた学びは非常によいと思います。 思考には、頭で考える部分と体を使って考える部分がありますから、実際に手を動かすことは重要です。そして、工学においては自ら規制せず、楽しみながら自由に発想することですね。私は学習塾での創造性教育で、傘を自分なりに改良させるなど、身近な物を使ってアイデアを出させる訓練をしたりしています。

山口先生:廣瀬先生にとって考えることや創造することはいまも楽しいことですか。

廣瀬先生:未解決の問題をどうすれば解決できるか思考することは、すごく面白いですよ。もう、いくらでも考えていられます。難題を「やらされている」と思うとつまらないけれど、「自分がやっているんだ」と思うと楽しいものです。

山口先生:勉強にも通じる考えですね。

廣瀬先生:経験上言えることは、創造や思考を楽しむためには基礎となる学力が必要であること。私は大学時代に工学や力学の基礎ばかりを学んで疲れましたが、大学院に進んで学んだことが整理されていくと「ああ、こういう世界だったのか!」と理解し、ロボット工学が俄然面白くなりました。詰め込んだ知識は、いまも思考するとき大変役に立っています。

山口先生:貴重なお話をありがとうございました。

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編集者から見たポイント

中高6年間を通して全員が学ぶところに学校の強いこだわりを感じる「創造性教育」。その学びは世界を股にかけて活躍する技術者が認める内容でした。時代を見据えた瀧野川女子の教育はICTだけではありません。学校説明会でぜひ詳しい教育内容について触れてみてください。

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イベント日程

中高一貫

イベント名 日時
学校説明会&個別相談会 2020年10月24日(土)10:30〜
第2回入試チャレンジ 2020年11月7日(土)13:30〜
第2回入試チャレンジ解説会 2020年11月14日(土)13:30〜
学校説明会&個別相談会 2020年11月28日(土)10:00〜

高校

イベント名 日時
学校説明会&個別相談会 2020年10月24日(土)13:30〜
学校説明会&個別相談会 2020年11月7日(土)13:30〜
学校説明会&個別相談会 2020年11月14日(土)13:30〜
学校説明会&個別相談会 2020年11月28日(土)9:00〜、13:00〜
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