新校長に聞く「志(ゆめ)」実現のための挑戦

足立学園中学校・高等学校
1929年創立の男子校である足立学園中学校・高等学校(以下、足立学園)。今回は、2025年度より校長に就任した瀬尾匡範先生にインタビューしました。教員として足立学園で約40年間過ごし、学年主任や生活指導員、高校の副校長を歴任してきた瀬尾校長先生。教師として大切にしてきたことや同校の教育方針の柱である「志共育(こころざしきょういく)」、男子校ならではの魅力についてお話しいただきました。
インタビューに応える瀬尾匡範校長先生
インタビューに応える瀬尾匡範校長

学校と生徒の変化を見続けてきた足立学園の校長へ

校長に就任すると聞いたときのお気持ちをお聞かせください。

瀬尾校長 前校長の井上先生から「次の校長をお願いしたい」と言われていたので心の準備はしていました。パワフルな前校長の後を継ぐという責任の重さを感じますが、井上先生の想いや志を継承しつつ、自分の方針も加味し新しい足立学園を築けていけたらと思っています。

長く足立学園で教育現場の第一線におられますが、学校や生徒の傾向についてどのような変化がありましたか。

瀬尾校長 私が入職した当時は、進学校を目指して改革し始めた時期でした。学校文化が変わったことで、今は真面目で理解力の高い生徒が増えたと思います。少し大人しいかなとも感じますが部活動も盛んですし、学園祭や体育祭は大変盛り上がっています。また最近は本校を第一希望として入学する生徒が増えたのも嬉しい変化の一つです。

学校が変化していく中でも、ご自身が教員として大切にしてきたことは何ですか。

瀬尾校長 生徒に対して粘り強く向き合って、何があっても信じてあげることを大切にしていました。何度も伝えることで、20年後30年後、最初に思い浮かべてくれるような先生になれたらと思いながら過ごしていましたね。

私の好きな言葉は「継続は力なり」です。継続するということは慣れること、慣れるというのは自然体でできるようになること。慣れるまでは大変ですが、身につけば自然とできるようになる。教員は生徒がそうなるまで粘り強く指導しないと「指導をしきった」ことになりません。私の担当教科は数学ですが、数学はまさに日々の積み重ねが大事ですし、「人を育てる」ことも同じだと思っています。

校長室には足立学園の教育理念「質実剛健 有為敢闘」の書が
校長室には足立学園の教育理念「質実剛健 有為敢闘」の書が

生徒が自分で「志(ゆめ)」を描いていける“志共育”

足立学園の教育の大きな特徴である、志共育について教えてください。

瀬尾校長 志共育は、生徒が自ら「将来何になりたいか」という“志(ゆめ)”を見つけて、実現するための体験や学びに導く教育です。当校はもともと「質実剛健 有為敢闘」を建学の精神として、「世のため・人のために役立つ人を育てる」を教育の柱にしてきました。それを実現するためにどう学校生活の中にプログラムとして取り入れるかを本気で考えて実行しているのが志共育です。中高の6年間で、「こういう人になりたい」だけではなく、「世の中に役立つ志(ゆめ)を立て、そのためにはこれを学ぶことが必要だ」まで考えられる人を育てることを目的としています。

どのようなプログラムがあるのでしょうか。

瀬尾校長 中学1年生で自分の「志」を立てることから始めるのですが、その志を育てるために「共育・体験・探究・グローバル」の4つのプログラムがあります。例えば中学時代に保育園実習や職業体験ができますし、学年の枠を越えたグループでの課題探究、海外留学も豊富で、学校行事もできるだけ生徒が主体になる形で進めています。

高校の修学旅行も体験プログラムの一つとしています。行き先を北海道・沖縄・海外から選んで実際に修学旅行委員が下見に行くんです。海外は国選びから生徒に任せており、コロナ前は海外希望者が20人ほどでしたが、今年は170人と半分以上が選びました。留学希望者も年々増えていて、海外に目を向ける生徒や保護者の方が増えていると感じますね。

志共育を通じて、生徒にどのような成長を期待していますか。

瀬尾校長 高校生になると生徒達にさまざまなことを任せていく形になっていきます。中学生のうちに自分達で決める力や考える力が身につくようサポートしますので、何でも自分で考えて実行できる人になってほしいですね。中高の6年間というのは「これから知ること」が多いので、一番初めに立てた志を変えるのも構わないと思います。自分で考えることが習慣づけば、何かしたいことが見つかったときに「本気でそれをやるためにはどうすればいいか」の筋道を立てられるようになりますし、社会に出てからも役に立つはずです。

志が決まれば、自然と進路決定につながりますね。

瀬尾校長 その通りです。私はただ偏差値を上げて大学に入れたり、偏差値から行ける大学を探したりというのは間違っていると思っています。大学では専門性の高い勉強をしますから、“行ける大学”ではなく“行きたい大学”を見つけることが重要です。そのためにも「自分が将来何になりたいのか」を早いうちから考えて、それを基準に受験のための勉強と作戦を立てられるように、やりたいことを見つけてほしいと思いますね。

約300席!都内最大級の自習室完備。この日はテスト勉強をする生徒で満席状態。
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思い切りのいい生徒が多い!「男子校」だからこその魅力

近年共学化する学校が増えていますが、男子校だからこその魅力は何でしょうか。

瀬尾校長 一番は「異性の目がない」ので何に対しても踏み出しやすくなることです。高校生くらいになると失敗を恐れて踏み出せない子が増えるのですが、異性の目があるとさらに踏み込みづらくなります。でも男子だけだと踏ん切りがついてやりたいことをするチャンスも増えます。失敗して学ぶこともありますし、自分に合わないものを知ることで選択肢も広がります。成功体験ばかりだと失敗したときのダメージが大きいですから、今のうちにどんどん失敗してそれも経験にしてほしいですね。実際に当校には思い切りのいい生徒が多いと思います。

どのようなお子さんが足立学園に向いているとお考えですか。

瀬尾校長 自分のやりたいことに真っすぐ取り組める子が合っていると思います。部活も柔道や卓球、アメフト、剣道など良い成績を残せる部が増えているので、やりたいことを一生懸命できる生徒が増えているのではないでしょうか。
また私の想いとしては、部活と勉強を両立してほしいと思っています。“二兎を追う者は一兎をも得ず”と言いますが、部活の時間と勉強をする時間は別ですから、それぞれにけじめをつけて集中してやる。そうすることで時間の使い方なども学んでいけると考えています。

先生達の特徴や魅力も教えてください。

瀬尾校長 先生達は常に生徒のことを第一に考えて一生懸命向き合ってくれています。教科指導に関しては「生徒は学校で初めて知るという意識を持つ」ことを大切にしてほしいと教員たちに伝えています。ときどき授業を見学すると、工夫や遊び心が詰まった授業をしていて感心しますし勉強になることばかりです。私も教壇に立つのが好きなので楽しませてもらっています。

来校した女子に人気!足立学園の"映えスポット"
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編集後記

教員の方々に向けた校長就任の挨拶では「教員も失敗を恐れず挑戦して、その姿を生徒に見せてほしい」という想いを伝えたという瀬尾校長先生。同校では毎年生徒に授業アンケートを採っており、どの先生も評価が高いとのこと。生徒たちが楽しみながら勉強できている証ではないでしょうか。志共育に限らず、日頃の授業でも先生達の挑戦や努力がしっかり生徒達に届いているのだと感じました。

イベント紹介

イベント名 実施日時 備考
中学校説明会 2025年6月28日(土) 11:00~ 11:00~授業見学・校内見学
14:00~説明会
15:00~授業・部活動体験、校内見学、個別相談
声の教育社 第43回受験なんでも相談会(中学) 2025年6月28日(土) 10:00~17:00 場所:新宿住友ビル1F三角広場
声の教育社 第43回受験なんでも相談会(高校) 2025年6月29日(日) 10:00~17:00 場所:新宿住友ビル1F三角広場