駒込らしい手堅さが目立った2024年度の大学合格実績
さっそくではありますが、過去3年間の主な難関大学合格者数を見ていきましょう。
2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | |
---|---|---|---|
国公立大学 | 18名 | 40名 | 26名 |
早慶上理ICU | 52名 | 69名 | 70名 |
GMARCH | 182名 | 200名 | 256名 |
合計・前年度比 | 252名 | 309名(+57名) | 352名(+43名) |
最新の実績を見れば、一目瞭然でGMARCHの合格者数が大幅に伸びたことが分かります。GMARCHは関東の難関私立大学の中でもエントリーレベルのように言われる場合があります。しかしながら偏差値は総じて55以上となっており、その数値が意味するのは上位31%(3人に1人の割合)に位置しています。文武両道を実践しながら難関大学に合格する大変さを理解いただけたかと思います。
その他の合格実績に含まれる大学の中でも、98名が理工系大学に進学している点は特筆に値します。実学人気の傾向が続く近年は、共学校・別学校に左右されず理工系学部の入学難易度が右肩上がりに上昇している中で、高い実績を残す駒込の進学指導や学力向上施策には特別な「何か」があると思わざるを得ないでしょう。
・芝浦工業大学28名 ・東京都市大学7名 ・東京電機大学41名 ・東邦大学11名 ・東京農業大学11名
キャリア教育に直結した探究学習の成果
大学と連携する授業で進学の選択肢がさらに広がる「駒込の探究学習」について、中学教頭の吉田宏一先生からお話をうかがいました。
探究学習にはどのような教育目的を定めているのでしょうか。
吉田先生 将来の進路選択に向けて、生徒の得意なものを伸ばすことはもちろん大切ですが、一方でまだ中学の段階では、「自分は何が得意なのか」、「興味があるものは何なのか」が見えていない生徒もたくさんいます。駒込の探究活動は、まずはさまざまな分野に触れてもらうことを目的とし、何事にも挑戦していく過程の中で、「自分の強み」や「やってみたいこと」を見つけてもらえればと思っています。
つまり探究学習にはキャリア教育の要素があるというわけですね。
吉田先生 はい。併設の高校に「国際教養コース」と「理系先進コース」という文理それぞれに特化した専門コースが誕生していますが、中学のうちは基礎学力の定着も大切なので、カリキュラムとして極端に特定の科目を偏らせることは難しいと考えました。しかしながら、探究学習としてさまざまな経験を積ませ、希望する生徒には上記2コースにつなげてキャリア選択の幅を広げていきたいと考えたのです。そのため、駒込中学のコース名も「国際先進コース」という2コースから取った名が付いています。
具体的にはどのような探究学習が実施されているのでしょうか。
吉田先生
2023年度の実績としては、埼玉大学STEM教育研究センターと提携した「STEAM講座」、スフィロミニという球体ロボットを用いた「プログラミング講座」といった理系の取り組みを実施しました。さらには、日本ファクトチェックセンターの方をお招きしての「メディアリテラシー講座」、東京理科大学主催の大学生指導による「宇宙教育プログラム」、大手製菓メーカーとタイアップした「アントレプレナーシップ講座」などがあります。
また2024年度は、英国の帝王学に基づいたオールイングリッシュでの「グローバルリーダー講座」を新規に設定しました。
埼玉大学との連携授業について詳しく教えていただけますか。
吉田先生
高校「理系先進コース」のSTEAM教育は埼玉大学STEM教育研究センターと連携し、3年間を通したカリキュラムで実施しています。これらは身近な社会課題を科学技術やテクノロジーを用いて解決法を見出していくという内容の授業です。中学でもそのジュニア版として、論理的、科学的に筋道を立てて考え、主体的な問題解決力を身につけてもらいたいと考え、「STEAM講座」を実施しています。
埼玉大学の准教授で埼玉大学STEM教育研究センターのセンター長を講師に迎え、1枚の段ボールで自動車の本体を作り上げ、モーターをプログラミングして動かす、という取り組みに挑戦しました。
限られた時間内に完成車を作るのは大変だったのではないですか。
吉田先生 生徒たちには基本的な情報しか提供せず、2人1組で試行錯誤しながら自分たちなりの正解を探っていきます。70組ほどのグループの中で、車が動くところまで辿りつけたのはほんの一握りでした。ただそれでいいと思っています。自動走行車を完成させることが目的ではなく、その完成への道筋を失敗しながら挑戦していく姿勢や、失敗から学ぶ経験を積んでもらうことが目的だからです。
中学入試にチャレンジする前にやるべきこと
どんなに気に入った学校でも入学できるのはたったの一校。わが子が通うことになる学校選びは、一生ものと考えてもよいでしょう。そのため、何よりも大切なのは「受験校についてもっと知る」ことが必要です。
駒込の教育方針を分かりやすく教えていただけますか。
吉田先生 駒込は、天台宗の開祖最澄の『一隅を照らす』という理念を建学の精神としています。「その人が置かれたその場(一隅)にあって、向上心を持って全力を尽くす(照らす)人」という意味があります。駒込で最も大切にしている教育方針は、この「なりたい自分になる」という建学の理念です。一人ひとりの個性を大切に、自己肯定感をしっかりと築き、利他心をもって艱難辛苦(かんなんしんく)にチャレンジしていく生徒を「国の宝」として育てていきます。
受験生にとって一番気になる入試の情報をお聞かせください。
吉田先生 入試に関しても教育方針同様で、国・算の2科、国・算・理・社の4科、2種類の適性検査型といったよくある入試形態に限りません。英語入試、プログラミング入試、自己表現入試、国語1科・算数1科の特待入試など多種多様なものを用意しています。なぜなら、得意なことを生かしてそれを伸ばしていってほしいという想いは、入試でも学校生活においても同じだからです。駒込生になったあかつきには、仲間を大切にして、なりたい自分になっていってもらいたいと思っています。
編集後記
当記事では大学進学実績と探究学習をメインテーマとして駒込の特色をお伝えしましたが、この学校にはクラブ活動や年間行事といった魅力がまだまだ秘められています。そのすべてを知るには何度も学校説明会に足を運ぶしかありません。わが子が受験する学校について、よく理解することをおすすめいたします。
イベント情報
イベント名 | 日時 | 内容 |
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第5回 中学校説明会 | 2024年10月19日(土) 14:00~15:30 | 校長挨拶・教育内容について 在校生による説明会(在校生徒が生徒目線で学校紹介) |
玉蘭祭(文化祭) | 2024年9月21日(土)・22日(日) | 2024年度は一般公開予定です |
第1回 夜の説明会 | 2024年9月26日(木) 18:00~19:00 | 校長挨拶・教育内容について (ご来校による説明会のみ) |
第6回 中学校説明会 | 2024年11月16日(土) 14:00~15:30 | 校長挨拶・教育内容について 過去問解説(私立型・適性検査型) |