
明星という安全地帯を出て、異文化に触れながら英語で過ごす
学校主催サマースクールとして実施した海外語学研修「MSSC」は、中学3年生から高校2年生を対象に学年ミックスで希望者を募り、英語圏ではないフィリピン・セブ島で開催しました。本企画・実施を担当した平山先生に企画実施の背景や現地での生徒の様子をうかがいました。
平山由紀子先生(国際教育部主任・英語教諭)

中学2年生(特選クラス)の担任を務める。学生時代に米国への留学経験を持ち、それが人生の基盤になったという実感から、生徒にも「異文化の中で自ら学ぶ体験をしてほしい」との思いを持つ。
新プログラムとして「MSSC」を企画された理由や目的をお聞かせください。
平山先生 コロナ禍明け以降、「英語を使ってみたいが機会がない」「学校主催で海外体験を企画してほしい」といった声が多く寄せられていました。明星ではこれまでも海外体験を提供してきましたが、今回は英語力強化に特化し、異文化環境で集中的に英語と向き合う機会を設けました。その趣旨から、「本気で英語に取り組みたい人」に加え、「校訓『健康、真面目、努力』を守れる人」に限定して募集しました。
企画への反応はいかがでしたか。
平山先生 説明会には生徒・保護者合わせて120人が参加し、期待の大きさを実感しました。最終的に、日本語を使わない授業に対応でき、志望理由書などで“本気”を示した18人が選ばれました。彼らの姿に刺激を受け、「次は応募したい」「躊躇したが次は挑戦する」といった声も寄せられています。

具体的にはどのようなプログラムになったのでしょうか。
平山先生
8月3日から16日までの2週間、現地に滞在し、部屋割りは異学年2人組としました。平日は8時間の英語授業(マンツーマン英語7時間+グループ活動1時間)、のマンツーマン英語授業、週末にはセブシティ散策やオランゴ島でのシュノーケリング、小学生との交流会など、異文化体験も豊富に用意しました。渡航前後には専用の英語学習プログラムを組み合わせ、現地での学習効果を最大化し、確実な英語力向上を目指しました。
セブ島を選んだ理由は、ネイティブではないからこそ丁寧で質の高い英語教育が受けられ、クセのない英語を学べる環境が整っていると判断したためです。また大自然に囲まれた環境で、病院併設のホテルで安全性と快適性も考慮しました。現地スタッフの手厚いサポートもあり、学びと交流の両面で充実した時間を過ごすことができました。
現地での生徒の皆さんの様子はいかがでしたか。
平山先生 2日目までは緊張や不安が見られましたが、授業が始まって逃げ場がなくなると、自然と英語に熱中していました。生活面でも自立的な行動が増え、積極性が高まりました。異学年同士の協力も生まれ、笑顔や真剣な表情が増えていきました。日々の英語日記からも、その成長ぶりがはっきりと読み取れます。

ここが良かった!楽しかった!参加者が語る「MSSC」の魅力
MSSCへの参加によって、英語力向上と共に、生徒たちはどのような体験をし、何を感じたのでしょうか。先生が驚くほどの成長を見せたという、4人に振り返っていただきました。
T.Y.さん(中学3年生)

【参加理由】中1で担任だった平山先生の授業が面白くて英語が好きになりました。成績が上がるにつれて、英語で他国の人と会話したい、英語だけで授業を受けてみたいと、どんどん欲が出てきました。まずはイギリス出身の副担任の先生ともっと話せるようになりたい。そのためにも「英語耳」に近づくこと、英語だけで話す度胸がつくことが目標です。
S.T.さん(中学3年生)

【参加理由】幼稚園で英会話の時間があったり英語の習い事をしたりしていたので、英語は好きでした。姉がイギリスに短期留学し、私も中学2年で参加したのですが、他の国も体験したくなり、本格的に留学するためにも「英語力を高めたい!」と思うようになりました。中3女子が1人で心細かったのですが、部活で一緒だったF先輩に誘われて参加を決意しました。
H.F.さん(高校1年生)

【参加理由】家族みんな洋画のファンで、私もいつかは字幕無しで観たいと思いつつ、外国には怖いイメージがありました。そんな時、明星の先輩でもある姉が中3の時にセブ島に短期留学し、英語力だけでなく人間的にも一皮むけて帰ってきたんです。その姿を見て、私もMSSCへの参加を決めました。コロナ禍で1年遅れましたが、募集とほぼ同時に申し込みました。
S.H.さん(高校1年生)

【参加理由】両親が英語学習に積極的で、私も幼少時から英語に慣れ親しんできました。MSSCへの参加理由は、得意な英語を伸ばしたいと思ったことに加え、普段と全く違う環境で過ごすことに興味がありました。どちらかといえば冷静で控えめな性格なので、英語だけの慣れない場所でも積極的に人と関われるか、自分の違う一面を見てみたいと思ったんです。
「英語漬け」の毎日だったとうかがいます。授業はいかがでしたか。
S.T.さん マンツーマン授業では全て自分で答えなければならず、しかも7時間連続です。毎日ヘトヘトで疲れたけど「英語に浸かっている」という手応えがありました。ゲームや早口言葉などリラックスして学ぶ時間もありました。
H.F.さん 授業中はもちろん、ゲームに負けると罰として変なダンスをさせられるので、恥ずかしがってなんかいられない(笑)。必死で英語を聞いて話すうち、1週間くらいで急に耳が慣れてきたのを感じました。
T.Y.さん 自分のレベルで進めてもらえたのが良かったです。間違えてもゆっくり質問してくれたり、例を出して分かりやすくしてくれたり、フォローしてもらえたりするので着実に力がついたと思います。話しかける度胸もつきました。

生活面はいかがでしたか。異学年で同室に戸惑いませんでしたか。
S.H.さん 部活も学年も違う相手でしたが、空港で話しかけたら一気に打ち解けて、滞在中は「一緒に筋トレとプール」が習慣になっていました。
T.Y.さん 相手は2つ上だったので、1日目は緊張して話しかけられずにいました。でも、ファーストネームで呼ぶようになって話すようになり、同じミュージシャンが好きなことが分かって急速に仲良くなりました。
アクティビティで印象に残っていることについてお聞かせください。
H.F.さん オランゴ島ツアーです。船の中でのダンスや歌は楽しく、海もきれいでしたが、スラムの子どもたちとの交流会が一番心に残りました。テレビで見たことはあっても、実際に村を歩くとエアコンも窓もない家ばかり。その中で生活する子どもたちの逞しさを感じました。
S.T.さん 私も、子どもたちとの交流会が一番印象に残っています。村は貧しくても本当に楽しそうに笑っていて、弾けるようなパワーに圧倒されました。日本でちょっとしたことで文句を言っていたことが、恥ずかしくなりました。
T.Y.さん セブシティも全てが新鮮でした。道路はデコボコで渋滞しているし、野良犬も多くて気を抜いて歩いていられない。日本とは違う街のエネルギーを感じました。
S.H.さん これまで自分が見てきた世界とは、何もかもが違っていました。けれど木の匂いなどが日本と似ていて「同じ地球の中なんだ」という感覚もありました。海で遊んだり、笑い合ったりする時間を通して、つながっている部分があると強く感じました。

MSSCを通じてどんなところが一番成長した、変わったと感じますか。
S.H.さん 積極性が増したと感じます。夜中にホテルのWi-Fiやブレーカーが落ちるというアクシデントがあり、一人でスタッフに英語で状況を説明し、復帰できたときには「成長したな」と思いました。
H.F.さん 私はやっぱり英語力かな。現地の小学生との交流会で、自然に英語がすらすら出てきたときには、自分でもびっくりしました。
S.T.さん 私もショッピングモールで英語が通じたときは感動しました。先生とも授業のときより会話が弾みました。

MSSCでの経験をどのように将来に活かしたいと考えていますか。
H.F.さん 正直、この経験がどう生きるかはまだ分かりません。でも、海外で働きたいという希望があり、それに向かって自分の意思で第一歩を踏み出せたという気がしています。
T.Y.さん まずは「副担任の先生と英語でしっかり話す」という目標をクリアして、MSSCの成果を実感したいです。数年後には長期留学にもトライしてみたいです。
S.T.さん 私は11月に予定しているカナダのホームステイで、この経験を活かしたいです。将来は英語を使って海外に関わる仕事をしたいと考えています。
S.H.さん 将来はIT系の仕事をしたいと思っており、世界を知って英語力をつけることが重要だと考え参加しました。でもMSSCを体験して、世界は単純に一つではなく、無数の違いとつながりが共存していると感じました。「正解は一つではない」と意識しながら、自分の進路や可能性を模索したいと思っています

明星から世界へ!心のグローバル教育を目指して
最後に先生から、明星を目指す受験生に向けてメッセージをお願いします。
平山先生 自らの意志で海外で学ぶ機会を得て、大きな成長を遂げた彼らですが、それは学校での日々の学びを大切に積み重ねてきた基盤があってこそ。だからこそ、今取り組むべき勉強にも全力で向き合ってください。その先に広がるさまざまな可能性を感じられるよう、私たちもグローバル教育のあり方を探求し、実践を重ねてまいります。
編集後記
2週間という短い期間ながら、参加生徒が英語力だけでなく人間的にも大きく成長したことに驚きました。それが実現したのは、先生方の熱意のもと、現地との緊密な連携によってプログラムを練り上げたことに加え、日々の教育の中で「自ら主体的に学ぶ」というメッセージを伝え続け、生徒たちがそれに真摯に応えたからにほかなりません。国際教育に定評のある明星が打ち出した新しい語学研修プログラム「MSSC」は、単なる語学研修にとどまらず、生徒一人ひとりの視野を広げ、将来への意欲を育む機会として今後も継続されます。
イベント日程
説明会の申し込みは約1か月前から受け付けています。
※第5回、6回の最新情報は説明会情報ページを参照ください。
| イベント名 | 日時 |
|---|---|
| 第5回 中学校説明会 | 2025年11月15日(土) |
| 第6回 中学校説明会 | 2025年12月13日(土) |

