創立から100年にわたって続く文京学院の伝統教育
「BUNKYO 100」のビジョンを掲げ、自立した学習者の育成や世界標準の学力と人間力の養成などに力を入れる文京学院。日本の伝統教育の継承も、文京学院の生徒や卒業生が21世紀を自分らしく生き抜いていくための取り組みの一環です。
今回は、文京学院創立から100年にわたって受け継がれている「礼法」をはじめとした伝統教育・授業について、文京学院大学女子中学校副校長の島田美紀先生にうかがいます。
「礼法」の授業の実施内容と、ねらいを教えてください。
島田先生
1924年、本校の創立者である島田依史子は、前年に起きた「関東大震災」後の混乱の中で困窮する女性たちの姿に心を痛め、わずか22歳のときに「女性の自立」を願って文京学院を創立しました。
その際に、自立の手段として教育活動の主軸に置いたのが「裁縫」の技術です。現在でも、創立者の思いを忘れないように、毎週金曜日の朝には全校揃って「運針」に取り組んでいます。
運針では、全校そろって、7分間で80㎝の布を縫い進めます。さらに高3では、刺し子を取り入れます。在校生、卒業生からは、「7分間集中して縫い進めることで、集中力が付いた」という声もあがります。しかしそれだけではなく、こつこつ重ねることで粗かった目が細かくなったり、まっすぐ縫えるようになったりと、努力が実る過程を実感できることも大きな効果だと思います。
島田依史子は、早くから海外教育視察を繰り返す中で、女子教育に後れを取る日本ではあっても「必ず女性の社会進出は進む」「国際社会で活躍する日が来る」と予見していました。
そのような中、国際社会で活躍するためにも、日本の文化をきちんと体得していること、美しい所作を身に受けていることは大切だと考え、教育活動の中に取り入れたのが、礼法(華道・茶道)の授業です。
ペン習字の実施内容と、生徒がどのように役立てているかを教えてください。
島田先生 1日1枚以上、年間600枚以上を書けた生徒には「ペン習字精励賞」が贈られます。「こつこつ重ねて努力を実らせる」という点では運針と同様ですが、島田依史子がいう「美しい文字は一生の財産」という言葉を人生の節目で感じている在校生・卒業生が多くいます。大学入試の志願理由書、就職のときの履歴書などで、試験官・面接官から褒められて実感するようです。また、ペン習字には、保護者からも特に高い評価をいただいています。
伝統校である文京学院の生徒に身につけてほしい教養とはどのようなものですか。
島田先生 本校はインターナショナルスクールとの教育提携や、5カ国8校とのMOU協定を締結し、留学や海外語学研修も積極的に行っています。また、併設大学のほか、東邦大学理学部との連携協定など、生徒が学外の人とも交流を重ねられるように環境を整えてきました。このような交流を通して他者への理解を育んでほしいと思っています。
100周年記念式典には卒業生が集結。伝統を受け継いで未来へ
文京学院の100周年記念式典が10月23日に開催
卒業後も在校生と卒業生がずっと繋がっていくことのできる絆を大切にしている文京学院。記念日に向けたホームページが作成され、学院のあゆみやお祝いメッセージなどの動画を視聴できるようになっています。卒業生の参加受付も開始しているとのこと。
100周年式典について、引き続き島田先生にうかがいました。
10月に開催される100周年記念式典の見どころはありますか。
島田先生
創立者島田依史子の書き記した手記を本にした、記念映画を作成しています。
また、多くの卒業生を含む文京学院関係者で集い、100周年を祝う式典を開催します。10月23日の創立記念日に行う予定です。
自分らしく21世紀を歩むために。文京学院が取り入れる現代の学習
文京学院は、校訓である「誠実・勤勉・仁愛」と教育理念である「自立と共生」を継承する一方、社会の中で自立した女性を育むため、21世紀を生き抜くスキルを身に付けるための学習にも積極的に取り組んでいます。
例えば、東京都内の女子高等学校として初めてSSH(スーパーサイエンスハイスクール)、およびコアSSH(理数教育振興の地域中核拠点)の指定を受け、全国でもトップレベルの先進的な理数教育を実施しています。
中学生時点から生徒が自立的に課題研究を行えるよう、基盤的知識と探究スキルを育成。生活において身近な科学現象を学習題材として扱い、授業に活かしています。また高校2年生からは個人での研究活動を開始。英語によるプレゼンなどを経験する中で、英語による発信力も鍛えていきます。
最新の教材を活用することにも積極的です。2022年度からは中学校・高等学校の全学年がタブレットを所持した状態になり、授業や探究活動の中でのICT利用が加速しています。
こうした取り組みから、4月からDXハイスクール指定校に採択されたことについて、島田先生にコメントをいただきました。
DXハイスクール指定校に採択されたことで、どのような変化がありましたか。
島田先生
指定を受ける以前から、1人1台、教材としてiPadを所持し、活用を前提とした教育活動を行っています。探究活動においても、情報処理やグラフ作成など、多くの場面で活用しています。
2023年度夏には、夏季進学講座の1つとしてプログラミング講座を行い、多くの生徒が参加しました。PCを用いて作品制作を行い、コンクールや大会にも挑戦します。昨年度は入賞例も増えました。
今後は大会・コンクールへの入賞の増加と、資格取得を目指す生徒が増えることを期待しています。
編集後記
記念式典の開催に向け、お祝いのムードが高まる文京学院。100年の伝統を守りながらも、グローバル化やDXなど時代のめまぐるしい変化に対応し、自立して世界で活躍できる女子生徒の養成を続けていることがうかがえました。次回の特集では、100周年記念式典の様子をお届けします。また、その他にも開催される文京学院のイベントに足を運び、ぜひ本校の歴史を感じてみてください。
日程 | イベント |
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2024年9月23日(月・祝) 10:00~12:00 |
学校説明会・Bunkyo Gakuin-Global Gateway
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2024年9月27日(金) 18:30~20:00 | 夜から説明会 |
2024年10月6日(日) 10:00~16:00 |
学校説明会・部活動体験
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2024年10月26日(土)・27日(日) 10:00~15:00 |
文女祭(学園祭)
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