城西大学附属 城西中学・高等学校

昼休み、食堂で仲のよい友人たちとテーブルを囲み、楽しそうに過ごすハキームくん。その表情を見ると、世界で戦う選手であることを忘れてしまうほどリラックスした雰囲気が感じ取れます。学内では、クラスメイトも本人も、大会の成績などの話はほとんどしないのだそうです。そういう環境が、互いの居心地のよさにつながっているのかもしれません。

実は、5年前に他の生徒と同じく一般受験で中学に入学したというハキームくん。授業では積極的に発言し、成績も優秀だそうです。勉強と陸上競技を両立させる秘訣を聞くと、「宿題や授業の予・復習は、できるだけ学校で終わらせるようにしています」とのこと。また、大会などで授業を休むときは、「友人にノートを見せてもらったり、どういう内容だったか教わったりしています」と、周囲の友人たちのフォローにも助けられているようです。

インタビューに答えてくれたハキームくん

勉強モードから部活動モードへの切り替えは、どのように行っているのでしょうか。ハキームくんは、「勉強の疲れを、部活動でリフレッシュする感じ」と表現します。そんなハキームくんですが、陸上競技に自信をもてるようになったのは中学3年生になってからだそうです。「陸上競技部顧問の山村先生に出会っていなければ、こんなに真剣に陸上競技を続けられていなかったかもしれません」と、恩師への感謝を語ります。

陸上競技部顧問の山村貴彦先生

インターエデュ（以下、エデュ）：山村先生の指導方針を教えてください。

山村先生：中学生への指導で心がけているのは、陸上競技を教える、というより楽しんでもらう、ということです。また、「わからないことがあれば、まず、わたしではなく先輩に聞くように」と指導しています。先輩と積極的にコミュニケーションをとることは、将来社会に出てからも必要になるので。

部活中のハキームくん

エデュ：勉強についての細かい助言はされますか。

山村先生：細かいことは言いませんが、「日頃の積み重ねが大事」ということや、「普段の授業をきちんと受けるように」ということは伝えます。ハキームは、それがきちんとできるタイプ。家で充分な休息を取るために、勉強に関しては授業内で理解を深めているようです。

エデュ：メンタル面のサポートはどのようにされていますか。

山村先生：私のほうから部員に声をかけたり、部員同士の会話にも耳を傾けたりしています。そこから、進路の悩みや友人関係、体調面などが把握できるのです。ハキームをはじめ、自分から相談に来てくれる部員も多く、信頼関係が築けていると思います。また、保護者の方がよく試合を観に来てくださるのですが、そのときに相談を受けることもあります。

エデュ：山村先生の指導やサポートがあるからこそ、部員は安心して文武両道を貫けるのですね。部員のみなさんの成長ぶりはどのように見ていますか。

山村先生：おかげさまで、多くの部員が卒業後、希望の進路を叶えています。部活動を通して、忍耐力を身につけているのを感じますね。ここで学んだこと、身につけたことを、社会に出て役立ててくれたらと思います。

編集者が見たポイント

この取材のあと、ハキームくんが文部科学大臣賞を受賞したといううれしいニュースが舞い込んできました。日本を代表し、世界で戦うハキームくんの活躍、また、同じく文武両道を極める城西生たちの活躍が、これからますます楽しみですね！