やりたいことが見つかる!女子美生が進路を考える併設大学説明会

女子美術大学付属高等学校・中学校
卒業生の多くが併設の女子美大に進学する女子美術大学付属高等学校・中学校(以下、女子美)では、毎年高校2・3年生を対象として専攻領域別説明会を実施しています。この説明会は、大学教授や先輩である助手の皆さんから、女子美大の各学科・専攻・領域での授業内容や、卒業後の職業イメージといった具体的な進路について情報収集できる貴重な機会。今回はこの専攻領域別説明会にスポットを当て、概要や目的に加え、説明会に参加した卒業生の声をご紹介します。

将来を具体的に考えることで安心した進路選択を実現

女子美術大学の芸術学部には、5専攻を有する美術学科、4専攻を有するデザイン・工芸学科、5領域を有するアート・デザイン表現学科、共創デザイン学科が設置されています。各専攻・領域の活動内容を理解し、できることや大学卒業後の進路と照らし合わせながら最適な進路選択をするために設けられたのが「専攻領域別説明会」。進路部主任の大西伸治先生に、説明会の概要や目的についてうかがいました。

専攻領域別説明会を実施する目的を教えてください。

スーツ姿の男性
進路部主任 大西伸治先生

大西先生 本校では、進路企画として、高校1年次に「キャンパス見学会」、高校2年次に「専攻領域別説明会」と「夏休み体験学習」を実施しています。高校1年次のキャンパス見学会の目的は、全ての専攻・領域の説明と施設見学を行い、女子美大の全体像を理解してもらうことです。

一方、高校2年生を対象に実施する専攻領域別説明会では、各生徒が興味のある専攻・領域を3つ選び、それぞれの授業内容や卒業生の活躍を大学教員から直接聞くことができます。希望する専攻・領域の教育内容をより深く理解することで、将来を具体的に考え、安心した進路選択を実現することを目的としています。

女子美術大学には、日本画、洋画、工芸、デザインなど多くの専攻や領域があります。各専攻・領域の内容を生徒に分かりやすく伝えるために工夫していることはありますか?

大西先生 専攻領域別説明会では、各専攻・領域における大学4年間の授業内容、制作作品の紹介、就職状況、授業外の活動について伝えます。その際、ただ伝えるだけではなく、映像や動画、卒業生の講演等を通して説明を行うことで、生徒に進学後の活動をイメージしてもらいやすくするよう意識しています。

専攻領域別説明会後にはどんな取り組みをして進路を決めていくのでしょうか?

大西先生 説明会後には、高校2年生を対象に実施する「夏休み体験学習」で、実際に大学の授業を体験してもらいます。説明会や体験学習を通して、進路選択について具体的なイメージを膨らませていきます。

専攻領域別説明会に参加する生徒たちに期待することはありますか?

大西先生 高校2年生の1学期という比較的早い時期に専攻領域別説明会を行うことで、生徒一人ひとりが自身の進路について具体的なイメージを持ち、将来を見据えた行動ができるようになることを期待しています。また、自分の将来の目標や夢に向かって、より充実した学校生活を送ってもらいたいです。

女子美大への進学率は8割超!

2023年度卒業生においては、8割以上が女子美術大学・女子美術大学短期大学部へ進学しました。一般の高校から美大に進学する場合、受験のための美術を勉強しなければいけない一方で、美大付属校の女子美では、自分が作りたい作品を授業で作り続けながら美大進学が可能。アートの道を希望する進学者にとって恵まれた環境だといえるでしょう。

2023年度 卒業生進路状況 (2024年4月1日現在)

女子美術大学芸術学部(4年制)
美術学科 洋画専攻 25
日本画専攻 11
立体アート専攻 5
美術教育専攻 2
国際芸術文化専攻 2
デザイン・工芸学科 ヴィジュアルデザイン専攻 16
プロダクトデザイン専攻 14
環境デザイン専攻 6
工芸専攻 11
アート・デザイン表現学科 メディア表現領域 26
ヒーリング表現領域 12
ファッション表現領域 6
スペース表現領域 9
クリエイティブプロデュース表現領域 5
共創デザイン学科 16
合計 166
女子美術大学短期大学部(2年制)
合計

 

他美術系大学合格者数<延べ>

大学・短大名 人数
(過年度生)
東京藝術大学 (1)
武蔵野美術大学 2(1)
多摩美術大学 (2)
東京造形大学 1
京都芸術大学 3
合計 6(4)

 

女子美は個性豊かな友人と好きなことにまっすぐ向き合える場所!

今年度の専攻領域別説明会には、助手として卒業生である中野億佳さんと藤野あさぎさんが参加。このお二人に、在校時に参加した説明会から受けた影響や後輩に伝えたい女子美の良さをうかがいました。

中野億佳さん

プロフィール画像

・在学時の専攻・領域:デザイン・工芸学科 プロダクトデザイン専攻
・卒業後の職業:一般企業の商品開発部に2年間勤務。現在は、女子美術大学 芸術学部 アート・デザイン表現学科ヒーリングデザイン表現領域の助手として勤務している。

藤野あさぎさん

プロフィール画像

・在学時の専攻・領域:デザイン工芸学科 工芸専攻
・卒業後の職業:女子美術大学大学院 美術研究科美術専攻 博士前期過程 工芸染 修了
 現在は、型染めで着物や帯を制作している。

女子美在学中に受けた専攻領域別説明会の感想を教えてください。

中野さん 付属生だった頃には、何度か説明会やワークショップへ参加しましたが、資料を見るだけと、実際の話を聞くのでは、全く違う印象を受けた記憶があります。

私の場合は、当時の説明会でプロダクトデザイン専攻が学部内での就職率がNo. 1(当時)という説明があり、それがきっかけでプロダクトデザイン専攻を志望するようになりました。

藤野さん 説明会や女子美祭、卒業制作展では、各専攻・領域の作品をみることができます。当時、私は実際に作品をみて、自分のやりたいことを実現できそうだと感じた工芸専攻を選びました。

生徒たちと女性
具体的に各専攻の体験ができます(写真は日本画専攻)

進路選択を控える在校生の皆さんにメッセージをお願いします。

中野さん 他の学校よりも、美術に触れる機会は多く、美術に精通する先生は多くいらっしゃいます。そんな恵まれた空間を存分に活用してください。自分が好きだと感じること、楽しいこと、得意なこと、やりたいこと、目指したいことは、どれもが将来につながる大事な種なので、大切にしてほしいと思います。

藤野さん 女子美には、特有の和やかな雰囲気と先生との距離感の近さ、充実した設備と、制作が思う存分にできる環境が整っています。やりたいことや好きなことに向き合える場所なので、好きなことに真摯に、何事も楽しんでほしいと思います。

指導者たちと話を聞く生徒たち
実際に大学の講師や助手の方から指導していただける貴重な機会です

最後に、受験生へのメッセージをお願いします。

中野さん 「美術が好き」、「絵を描くことが好き」、「デザインが好き」、「図工が好き」、そういった気持ちが少しでもある方には、ぜひ文化祭などに足を運んでいただきたいと思います。文化祭は生徒の作品や雰囲気がよく分かる学校行事です。実際に体感していただけたらと思います。

藤野さん 女子美には、たくさんのワクワクとドキドキがあります。個性豊かな友人たちと、好きなことにまっすぐ向き合える環境はとても楽しく充実しています。少しでも興味がある方は、ぜひ文化祭や説明会に来てください!

講義する男性と生徒たち
具体的なカリキュラムの説明を受けることで大学進学後のイメージが深まります

編集後記

中高大10年間を一貫して学べるという大きな魅力をもつ女子美。多くの専攻・領域から生徒たちが最適な選択をするため、女子美では情報収集の機会を多く提供しています。高大にわたって「好き」や「やりたい」を突き詰められる分、高校の時点で将来進みたい方向性をさまざまな角度から見定めることが大切。高い専門性を身に着けた女子美生が、文化の担い手として社会で活躍していくのが楽しみです。

イベント日程

イベント名 日時
中学校説明会 ※要予約 2024年8月25日(日)
高等学校説明会 ※要予約 2024年8月25日(日)
中高共通公開授業 ※要予約 2024年9月28日(土)
女子美祭 ※要予約/定員なし 2024年10月26日(土)、27日(日)