ベールに包まれた⁈ 女子美の魅力に触れられる「なんでも質問会」レポート

女子美術大学付属高等学校・中学校
キャンパス内の銀杏が色づき始めて晩秋を迎えようとする時節、女子美術大学付属高等学校・中学校(以下、女子美)では、毎年の名物になりそうな新イベントが開催されました。このイベントは「なんでも質問会」と称され、学校の魅力を伝え、潜在的な受験生や保護者との対話から女子美の理解を促進することを目的としています。レポート取材を通して、イベント背景やその充実した内容をご紹介していきましょう。

受験生が知りたい女子美のすべてが分かる「なんでも質問会」誕生秘話

今年で2回目となる女子美「なんでも質問会」は、予約人数の制限なしで土曜日の午前授業が終わった時間帯を利用して開催されました。美術に関心がある女子受験生には知られている女子美ですが、一般にはまだ、どんな学校か知られていない。そんな女子美をもっと知ることができる機会を企画した広報部主任の並木憲明先生から詳しくお話を聞かせていただきました。

受付に並んだ来校者の皆さんを誘導する並木憲明先生
受付に並んだ来校者の皆さんを誘導する並木憲明先生

なんでも相談会の開催目的や見どころについて教えてください。

並木先生 以前、11月に実施していた学校説明会の代わりとなる来校型イベントとして開催を企画しました。とにかくやってみようという意気込みで始めた質問会の趣旨は、学校側からの一方的な情報発信ではなく、来校された皆さん自身が質問者として主体的に動いていただける機会を設けるというものです。近年は受験倍率の高まりと受験動向の早期化が顕著になっており、熱心なご家庭は春先から情報収集を始めています。そのため、動き始めるのがワンテンポ遅かったというご家庭を対象にしました。さらに、受験学年である小学6年・中学3年だけでなく、他学年の児童・生徒・保護者の視点に立った学校選びをお手伝いしたいという意図もありました。
受験学年であれば今さら聞きづらい質問もあるでしょう。説明会に参加することに心理的なハードルを感じる受験生もいるはずです。だからこそ相談ではなく質問会にしようと思った訳です。そうした場合でも親切丁寧に個別対応する会、説明会ではなく複数の先生や生徒たちと語り合えるような関係性を持つ場所を用意するということで、その名も「なんでも質問会」とさせていただきました。受験生の気持ちを受け止めるのが誰であればベストか。それを考えた時、校長を含めた全教員が対面することに決まりました。

質問会は受験に動き始めるのが遅かったご家庭も対象にしています
質問会は受験に動き始めるのが遅かったご家庭も対象にしています
学校長の石川康子先生に質問できる「校長の部屋」
学校長の石川康子先生に直接質問できる「校長の部屋」

今年から始めた取り組みはありますか。

並木先生 放課後のクラブ活動や制作の様子を参観できる機会は昨年と変わりませんが、有志生徒による「生徒の部屋」を大幅に拡大しました。1回目だった昨年は鏡友会(生徒会)から質問に対応する生徒を6名程度選んでもらう形でしたが、今年は思い切って公募制に切り替えてみました。そうしたところ、中高合わせてなんと80名を超える生徒が手を挙げてくれました。女子美は比類ない第一志望率の高さが特徴です。そんな在校生たちのコメントは本当に信頼できるものだと思っています。いつもやったり、感じたりしていることを話してもらうだけで、受験生にはとても響いたことでしょう。
また、女子美の魅力を知ってもらえる新しい試みとして、質問チケットや生徒スタッフ用のオリジナルキャラクターグッズなど、遊び心のある要素を用意しました。まず興味を持ってもらい、もっと女子美のことを知ってみたいと思ってもらえると嬉しいです。

今年の特徴は生徒の参加数が大幅に増加した点です
今年の特徴は生徒の参加数が大幅に増加した点です
卒業生で非常勤講師・漫画家の井田葉子さん原作のスタンドクリップと並木先生考案の質問チケット
卒業生で非常勤講師・漫画家の井田葉子さん原作のアクスタクリップと並木先生考案の質問チケット

生徒の他にもいろんな「部屋」が設けられていますね。

並木先生 多角的な視点から質問に答えられるように校内外の協力を得て実現した質問会です。その一例が「在校生の保護者の部屋」や「学費や奨学金の部屋」といったものです。教員だけが回答するのであれば、クラブ活動の頻度や自宅学習との両立、さらには奨学金などについての詳細な説明が難しい点があります。受験生やご家族が質問したい内容は多岐にわたっていますので、どんなことでも当事者の視点でお答えできる体制を整えました。

各クラブの実施目的にも質問が及んでいた「クラブ・行事・国際交流の部屋」
各クラブの実施目的にも質問が及んでいた「クラブ・行事・国際交流の部屋」
エントランスギャラリーでは大学広報スタッフが待機されていました
エントランスギャラリーでは大学広報スタッフが待機されていました

美大付属校としての中高大連携を意識した「部屋」はありますか。

並木先生 本校から女子美術大学への内部進学率は84%となっており、中学から大学まで10年間の一貫した教育環境が生徒・学生・保護者にとって大きな魅力となっています。以前は付属校時代と大学時代の環境に違いを感じるという声が上がっており、中高大の教職員間では連携を深めなければいけないという課題がありました。そこで、多くの来校者が参加する質問会には大学コーナーを設け、大学広報スタッフによるキャリア情報の説明や、各種資料を配布しています。学校法人としても中高の存在は「女子美にとっての宝」と称されて、大切にされています。

在校生との交流から想像できる入学後の女子美生ライフ

来校した受験生と保護者が一緒になって、先生・在校生に直接質問できる「なんでも質問会」。皆さんが気になっていること・不安を感じていることは一体どんなものなのでしょうか。現地会場を巡る中で、その傾向が徐々に見えてきました。

廊下でも積極的に質問されている来校者の皆さん
廊下でも積極的に質問されている来校者の皆さん
聞こえてくるのは受験に関する内容が多かったようです
聞こえてくるのは受験に関する内容が多かったようです
放課後制作の教室も公開されていました
放課後制作の教室も公開されていました
中学1年生は点描に取り組んでいました
中学1年生は点描に取り組んでいました
気軽に参加できる雰囲気作りが工夫されています
気軽に参加できる雰囲気作りが工夫されています
入学後の過ごし方がイメージできるイベントです
入学後の過ごし方がイメージできるイベントです

来校者の皆さんが最も多かったのは、中高の入試・受験に関する質問ができる「入試の部屋」、続いて2番目に多かったのは「生徒の部屋」でした。各入試科目は「学習の部屋」、高校実技入試は「美術の部屋」でそれぞれ質問できるように細分化しています。受験生にとって、放課後に取り組んでいる美術の課題レベルやその内容、校庭などで行われているクラブ活動の練習風景、未来の先輩になる中高生の様子といった普段の学校生活を見学できる点はとても重要だったのではないでしょうか。

運動部の花形「バトン部」とマスコット
運動部の花形「バトン部」とマスコット
未来の女子美生を見たくて参加した元気いっぱいの中学1年生
未来の女子美生を見たくて参加した元気いっぱいの中学1年生
女子美でもスラックス着用の生徒が増えています
女子美でもスラックス着用の生徒が増えています
生徒たちは授業の課題が掲示されることに大きな誇りを感じています
生徒たちは授業の課題が掲示されることに大きな誇りを感じています
女子美祭以外でもキャンパスをしっかり見られる機会です
女子美祭以外でもキャンパスをしっかり見られる機会です
受験生にとって憧れの制服です
受験生にとって憧れの制服です

編集後記

中学受験対象99組、高校受験対象42組が事前予約をした女子美「なんでも質問会」は、来場者数300名以上、自主的に参加した生徒約80名とともに昨年よりもパワーアップして開催されました。質問対応者は先生・生徒だけでなく、保護者・事務職員・大学スタッフまで含まれています。とりわけ大学との連携が強化されている点からは、今後の女子美がどう変わっていくのかを知ることができました。女子美と言えば、掲示物のクオリティの高さが評判を呼んでいる「女子美祭(文化祭)」と、見る者を圧倒するパフォーマンスで知られる「運動会」が有名ですが、「なんでも質問会」もまた次の名物行事として加わるポテンシャルを持っています。
今年も3月には卒業生制作展(会場:東京都美術館)、そして5月には公開授業が開催されます。ぜひともイベントに参加して女子美ならではの魅力を感じてほしいと思います。

イベント名 日時
高等学校卒業制作展 (於 東京都美術館)
2025年3月1日(土) ~6日(木) ※展示時間9:30~17:30
入試報告会 ※要予約 2025年3月22日(土) 10:00~・12:00~