
アートの才能を最大限に伸ばしてくれた女子美の環境
始めに発想力の向上や画力の成長、そして友達や先生との関わりを通して得た気づきなど、うかがいました。
H.Y.さんプロフィール

・クラス:絵画コース松組
・入学時期:高校から
S.W.さんプロフィール

・クラス:デザインコース桜組
・入学時期:高校から
S.T.さんプロフィール

・クラス:工芸・立体コース竹組
・入学時期:中学から
女子美での学びから成長につながったことを教えてください。
H.Y.さん 私は「発想力」が一番成長したと思います。女子美の課題の組み方は本当に良くて、ドローイングや自由制作など満遍なく発想力を伸ばす環境が整っています。先生方もアドバイスをくださるので、どんどん成長できたなと思っています。
S.W.さん 驚くほど画力が上がった気がします。書くたびに自分でも成長を実感できました。特に先生の指導が的確で、自分の長所をしっかりと見抜いて褒めてくれるので自信につながりました。
S.T.さん 私も画力が上がりました。回数を重ねたことや、先生が選ぶモチーフが徐々に難しくなったことで、自然とスキルが伸びたのだと思います。
友達から受けた刺激や影響はありましたか?
H.Y.さん 女子美生は素直な子が多くて、私も感化されて自分の好きなことやハマっていることを「自分も好きなことを素直に表現していいんだ」と思えるようになりました。
S.W.さん 自分の意思を貫く大事さを教わりました。女子美に入る前の私は、周りの意見に流されやすいタイプでした。でも、女子美生は個々を尊重し合います。例えばモチーフを選ぶときも「あなたがそっちを選ぶなら、私はこっち」というように、自分が何をしたいかはっきり言う人が多いです。
S.T.さん 女子美生はすごく個性豊かで、誰もが特技や趣味を持っています。そんな仲間たちとお互いにアイデアを共有したり、作品について話し合ったりすることで、自分の視野が広がりました。
先生との関わりについて教えてください。
H.Y.さん 中学の頃は先生と話すのにすごく緊張するタイプで、口数が多い方ではありませんでした。でも、女子美の先生方は生徒との距離が近くフレンドリーで、気軽に何でも相談できます。卒業制作では、たくさんのアドバイスや励ましの言葉をかけてくださり、行き詰まったときに支えていただきました。
S.W.さん
女子美の先生は距離が近く、自信が持てない私をしっかりと成長できるように導いてくれました。先生はとても褒めてくださるので、それが自信につながり「歩き方も変わった」と言われるほどです。
卒業制作では、親身になって一緒に考えてくれたり、ラストスパートで病みそうなときも励ましてくれて、本当に支えになりました。
S.T.さん
先生方との関係は、他の学校とは少し違うなと感じています。特に美術の先生とは、同じ美術を好きな者同士のような感覚で話せるんです。先生と対等に話せることで、自分がやりたいと思う作品作りができました。
卒業制作でもたくさんの知恵をくださり、一緒に私の作品と向き合ってくださいました。とても感謝しています。
高校生レベルを凌駕する受賞作品の制作秘話
高校3年生は、2学期から美術科の先生と意見を交わしながら構想を練り、卒業制作へと進みます。卒業制作に取り組むことは最終学年となる3年生の一大イベントです。受賞作品が生まれた背景に迫ります。
卒業制作の受賞作品について教えてください。
H.Y.さん 卒業制作は高校で成長したこと、つまり「発想力」をテーマに描こうと考え、私にとっていつもいいアイデアが思い浮かぶ「お風呂」と「発想」を絡めて作品にしました。お風呂の中の潜水艦でアイデアを探し回るチョウチンアンコウをモチーフにし、周囲には深海生物やお風呂グッズを散りばめました。

発想力をテーマにした油彩作品で、縦2メートルの大きなキャンバスに描いています
S.W.さん
私はまず、タイトルを考えることから始めました。「おかさな」は、幼い頃の言い間違いから生まれた言葉です。幼少期を振り返ることで、両親から愛情を受けて育ったことを実感し、そこから絵の空間イメージを膨らませモチーフを選びました。
中央に描いた赤ちゃんの額から生えた大きなキノコは、一見すると邪魔な存在ですが、実は針から守ってくれる象徴的な存在です。私にとってのキノコはHSP気質(繊細すぎる気質)を表しています。HSP気質は悪い方に働くと事態を悪く考えすぎる、良い方に働くと自分の夢や世界観を何倍にも膨らませるという特徴があります。女子美でその特性に気づき、今回のテーマにしました。

赤ちゃん右下の信号機に乗ったタコは、赤信号を示していて、一度落ち着いて考えるという母の教えと私のマインドを表しています
S.T.さん 自分の夢や好きという気持ちを「詰める」という想いから、お弁当をモチーフにパズルを制作しました。和洋中の3種類があり、同じ形のパーツを入れ替えて、自分好みの弁当を作ることができます。私は食べることが大好きで、高2の女子美祭ポスター制作や、毎朝のお弁当作りの経験から着想を得ました。

パズルのように詰める楽しさや、好きなものを自由に組み合わせる面白さを表現した作品です
作品の中でこだわったところを教えてください。
H.Y.さん 細部まで楽しめる絵にすることを意識しました。深海生物やお風呂グッズがいたるところに配置され「ウォーリーを探せ」のようにどこを見ても発見があるような作品にしています。
S.W.さん 赤ちゃんの質感と光の表現にこだわりました。知人の赤ちゃんの協力もあり、直接触れ合うことで理想的な赤ちゃんが完成しました。
S.T.さん こだわりは、何のおかずかを一目で分かるように描写したことです。それとパーツごとに高さを変えることで、立体感を持たせました。
苦労したところはありますか。
H.Y.さん キャンバスに描く際は、まず模造紙に下書きをしてからキャンバスに転写するのですが、その作業が1番大変でした。転写後は、いつもの油彩と同じように描き進めましたが、大きな画面のため、最初は大きな刷毛で「壁を塗る」ような感覚で、意外と体力を使いました。
S.W.さん 試作ではうまく描けていた赤ちゃんも、大きな画面となると全く感覚が違うため、何度も試行錯誤を重ねました。光の表現も難しく、たくさんの名画を見て研究しました。
S.T.さん パーツの切り出しと調整に苦労しました。全部で65個のパーツを糸ノコギリで切り出し、それぞれをお弁当箱にはめる作業が一番大変でした。
将来の展望と未来の女子美生へメッセージ
今後の目標や将来の夢について教えてください。
H.Y.さん 絵本みたいな作風が自分にはハマっていると思うので、そういう絵を大学で描いていって、進路を見つけられたらいいなと思っています。
S.W.さん もともと赤ちゃんが好きなので、ベビーグッズを考えるデザイナーになれたらいいなと思っています。
S.T.さん 食べ物に関することと美術を掛け合わせることができたら面白いなと思います。自分の好きなことをやっていけたらいいですね。
未来の女子美生へメッセージをお願いします。
H.Y.さん
女子美は自分の好きなことを尊重してくれる人が多く、個性をさらけ出せる場所です。
「自分のことをあまり言えないな」とか「話すの得意じゃないな」って思っている人でも、自分をさらけ出して、楽しみながら作品作りに没頭できるようになるはずです。
S.T.さん 先生との距離が近く、友達同士で固まるようなことはありません。1人で休み時間に絵を描く子もいて、自分のやりたいように過ごせる学校です。お互いを認め合える関係性がいいなと思います。

編集後記
女子美での学びの集大成となる卒業制作。技術だけでなく、発想力や表現力の成長が感じられ、どの作品にも生徒たちの思いが詰まっています。自由な発想を育む環境や、先生、仲間、家族の支えがあったからこそ、それぞれの個性が存分に発揮されました。制作の過程は大変なこともありますが、達成感や創作の楽しさも大きく、完成した瞬間の喜びは格別です。
女子美では、毎年卒業制作展を東京都美術館で開催しています。生徒たちの学びの成果をぜひ会場でご覧ください。
イベント情報
イベント名 | 日時 |
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2024年卒業制作展 (東京都美術館ロビー館 第1・第2展示室) | 3月1日(土)~3月6日(木) 9:30~17:30 ※入場時間は17:00まで |
入試報告会 ※要予約 | 3月22日(土) 中学の部:10:00~、12:00~ 高校の部:14:00~ |