政策甲子園で優秀賞と文部科学大臣賞!生徒が描く理想の未来とは

東京家政学院中学校・高等学校
東京家政学院中学校・高等学校(以下、家政学院)の高校3年生による「ベイビーラボ」と「わかもかピッコリーノ」の2チームが2024年9月、高校生が日本の抱える課題を調査して政策を立案し、聴衆の前で演説する「第2回全国高校生政策甲子園」で好成績を収めました。書類審査、東日本予選大会、決勝大会によるコンテストを勝ち抜いた高校3年生8名のうち6名が受賞までの道のりを振り返ります。

日本の未来と真剣に向き合った政策を提案

第2回全国高校生政策甲子園の設定テーマ部門[笑顔あふれる未来の子育て政策!]で文部科学大臣賞に選ばれたベイビーラボのK.I.さんと、自由設定部門[私が総理大臣になった時の1丁目1番地!]で優秀賞に輝いたわかもかピッコリーノのN.O.さんと、2人のリーダーにお話をうかがいました。

文部科学大臣賞に選ばれたベイビーラボのメンバー。左からリーダーのK.I.さん、M.T.さん
文部科学大臣賞に選ばれたベイビーラボのメンバー。左からリーダーのK.I.さん、M.T.さん
優秀賞に輝いたわかもかピッコリーノのメンバー。左からK.K.さん、A.S.さん、リーダーのN.O.さん、M.Y.さん
優秀賞に輝いたわかもかピッコリーノのメンバー。左からK.K.さん、A.S.さん、リーダーのN.O.さん、M.Y.さん

まずは各々のチームの政策を教えてください。

K.I.さん 私たちの政策タイトルは「ミニこども家庭庁を作ろう」というものです。2023年に設立されたこども家庭庁と同じ機能の行政機関を最低でも各都道府県に一つ設け、子どもや子育て世帯の支援体制を全国的に手厚くしようと考えました。

N.O.さん 私たちは「防災専門省庁を設置しよう」という政策を提案しました。特に災害後の避難所問題に重きを置きました。非常用物資の不足や避難所の長期滞在といった課題を解決するために専門省庁を立てることによって、内閣からの迅速な情報や支援が行き届くことを目的としました。

K.I.さん 東京都では高校生以下が対象の医療費助成制度が導入されていますが、ミニこども家庭庁の設置によって日本全体で医療費無償化が実現できます。また、男女ともに育児休暇をより取りやすくするために、育児休暇取得者の仕事をカバーする人に手当が出る仕組みも提案しました。

N.O.さん 私たちは震災後の生活で重要な「トイレ・キッチン・ベッド」の「TKB」に加え「プライバシー」も大切と考え、「TKB+P」というフレーズを作りました。プライバシーも確保された仮設住宅のテントを開発するために、どういう構造や素材がいいのか、CADオペレーターや大工の方に実際に話をうかがいました。

リーダーとして意識した部分はありますか。

K.I.さん まずはチームメイトの意見に共感することです。自分から主体的に取り組むことでみんなのモチベーションを高めるようにも心がけました。

N.O.さん 役割を明確にしました。例えば、ほかの国と比較する人、災害の概要をまとめる人、自治体の方に話を聞く人という分業で、各々が一つのことに集中できると考えたからです。

家政学院の普段の学びや環境が反映されたからこその受賞!

日々の授業は政策の立案や発表にどのように役立ったのでしょうか。6名に意見を聞きました。

わかもかピッコリーノの4名は、震災後の生活で重要な「トイレ・キッチン・ベッド」の「TKB」に加え「プライバシー」も大切と考え、「TKB+P」というフレーズを考案しました
わかもかピッコリーノの4名は、震災後の生活で重要な「トイレ・キッチン・ベッド」の「TKB」に加え「プライバシー」も大切と考え、「TKB+P」というフレーズを考案しました

今回の受賞について、普段の学びや環境が生きた部分を教えてください。

K.I.さん 政策甲子園に参加したみんなが受けていた政治経済の授業です。ちょうど各省庁について学んで発表する時間があって、こども家庭庁についても調べていたので、子どもや子育て世帯の支援に興味がありましたし、「笑顔あふれる未来の子育て政策!」というテーマにもスムーズに向き合えました。

M.T.さん 高校2年次に論文作成に挑戦する探究活動を通して身につけた書く力は、書類審査で生きたと感じています。1クラス20名〜25名前後の少人数制の学校なので先生との距離が近く、先生方からヒントやアドバイスを多くもらえた点も良かったです。おかげで本番の質疑応答にもうまく応じられました。

N.O.さん 去年「世界遺産×SDGsチャレンジ」という探究型コンテストに参加した際、先生に「学校外の視点も取り入れてみては?」と指摘していただきました。そのアドバイスを生かし、今回はCADオペレーターや大工、自治体の方に実際に話を聞き、自分たちの政策に落とし込むことができました。

K.K.さん 2年次までSDGsと絡めた探究活動があって、食品ロス対策や洋服のリサイクルについて考えたのですが、そこで課題に気づく力や課題を設定する力が伸びました。課題をどうしたら解決できるかという考え方や議論の仕方も身についたので、今回の準備や発表もうまくいったと感じています。

A.S.さん 全校プレゼン大会もある探究活動の時間も含め、英語や国語の授業でもグループワークが多い点がプラスに作用した印象があります。みんなでいろいろな考えを出し合って、それを結果的にまとめて発表するという流れに慣れていたので、大会だからといって特別な感じはしませんでした。

M.Y.さん 私も探究活動やグループワークの効果は大きいと思っています。グループワークで課題設定をしてプレゼンテーションをする時間があって、何人かで時間をかけて特定のテーマについて話し合って、結論や主張を明確にすることに取り組んできた時間は政策甲子園にも反映されたと思います。

ベイビーラボのメンバーは「ミニこども家庭庁を作ろう」という政策を提案しました
ベイビーラボのメンバーは「ミニこども家庭庁を作ろう」という政策を提案しました
わかもかピッコリーノの4名は、「防災専門省庁を設置しよう」という政策を提案しました
わかもかピッコリーノの4名は、「防災専門省庁を設置しよう」という政策を提案しました

政策甲子園を通して見えた自身の理想の未来とは?

6名の言葉を聞くと、今回の受賞はそれぞれの今後をより充実させるはずと期待感が高まります。

6名とも今回の経験を具体的に生かしたいと考えています
6名とも今回の経験を具体的に生かしたいと考えています

今回の経験をこの後、どのように生かしていきたいですか。

K.I.さん 看護系の大学に進学して看護師になるのが夢なのですが、政策甲子園で仲間と親密にやりとりした経験を将来、チーム医療に役立てたいと思っています。今回意識したわかりやすく伝える力も、患者さんに治療方針などを話す際に生かしたいです。

M.T.さん 私自身、政策甲子園は去年に続いて2度目の参加で、2度の挑戦で一つの物事を多角的に見る力が養われたかなと感じています。大学では中世の国文学について学びたいと考えていて、常に複数の視点から研究する姿勢を心がけたいと思っています。

N.O.さん 私は大学で文芸メディアを専攻したいと考えています。将来、情報発信者として働く上では、社会情勢にアンテナを張るだけでなく、今回の準備や発表で感じたように客観的に物事を見ることが大切なので、中立的な観点をより養っていきたいです。

K.K.さん 消費者の行動心理にとても興味を持っていて、大学は経営学部への進学を検討しています。政策甲子園や探究活動で身につけた課題発見力や課題解決力をより伸ばして、消費者の行動パターンや心の状態を深く理解できるようになるのが目標です。

A.S.さん 社会問題などを考える際、一面的な情報だけでなく、深く幅広く調べる習慣を今後も意識したいです。大学は観光系の学部に進みたいと思っていて、例えば外国人が日本を訪れるインバウンドの良い面も悪い面も理解できればと考えています。

M.Y.さん 私は今回、災害について外国との比較を担当したのですが、国際学部でさまざまな文化や宗教、あるいは人種がどう世界を構成しているかを学びたいです。大学進学後も、今回の経験で身につけたプレゼンテーション能力を生かしていきたいです。

編集後記

第2回全国高校生政策甲子園で家政学院の2チームが受賞を果たしたのは、普段の学びの賜物と言えるでしょう。SDGsと関連づけた探究活動や、さまざまな授業で行われるグループワークの積み重ねが、日本の未来を照らす政策の発案につながったのは間違いありません。この過程で身につけた力は、大学進学後などもしっかりと生きるはずです。

イベント紹介

プレ入試解説は6年生が対象です。

イベント名 日時
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中学校 第4回入試対策説明会~入試直前アドバイス~ 2025年1月12日(日) 10:00~
中学校 体験イベント【5年生以下対象】 2025年2月23日(日) 10:00~