
学びと社会の結びつきを感じられる教科横断型授業
教科横断型授業を企画した背景について教えてください。

根岸先生
授業での学びが実社会とどうつながるのか、生徒に肌で感じてほしいという想いから企画しました。横断した教科は、国語・数学・英語・理科・社会・美術・技家・保健体育の8つです。社会に出れば教科の垣根はありませんが、学校で得た知識や経験はあらゆる場面で活かされます。
また、2025年度から高校に導入された「クリエイティブラーニングコース」にもつながるような、中学校独自の教育をつくりたいという想いもありました。
なぜ「ピザ作り」を選ばれたのですか?
根岸先生 東京家政大学の附属校ならではの楽しい教科横断型授業を考えたところ、大学内の石窯を使ったピザ作りを思いつきました。
先生間の連携が必要な教科横断型授業は、組み立てが大変かと思います。
根岸先生
はじめに、ものづくりのプロセスに沿うように学びの順番を考えました。まず国語でピザ作り全体のコンセプトを決め、次に美術で商品のロゴをデザイン、そのあとに数学でピザ箱を展開図から作成してロゴを貼る流れです。
これを各教科の先生にお伝えし、通常授業の進捗に影響が出ない範囲でスムーズに進むよう、話し合いを重ねました。まるでバトンをつないでいくかのようでしたね。
理科ではどのような授業を行いましたか?

鈴木先生 レーズンの天然酵母を使ったピザ生地の発酵をテーマにしました。生地の発酵には、市販のドライイーストを使うのが一般的です。そこで、身近な食材に天然酵母が存在していることを生徒に知ってもらい、酵母を起こす過程で探究心を引き出せればと考えました。
大変だったことはありますか?
鈴木先生
レシピの作成とスケジュールの逆算です。私自身天然酵母を作ること、ましてやその酵母を使ってピザ生地を発酵させるのは初めてだったので、生地が膨らむように酵母や強力粉などの量を入念に計算しました。
また酵母の発酵には時間がかかるので、生徒が実際にピザを作る日から逆算して、調理を担当する技術家庭科の先生とも話し合いながら授業のスケジュールを立てました。
今後の展望を教えてください。

根岸先生
中学2年生の「ピザ作り」は続けていく予定です。中学3年生でも教科横断型授業を行いたいので、内容を模索しています。
高校・大学の学びや十条の土地柄と絡めつつ、学園内のリソースを使いながら「東京家政大附属女子だからできること」を軸にしたいと考えています。
「ピザ作り」を通して広がる世界と探究心
「『ピザ作り』、すごく楽しかったです!」と目を輝かせて語ってくれた中学3年生のE.N.さんとS.H.さん(授業当時中学2年生)に、この授業で得た学びや気づきについてうかがいました。

「ピザ作り」の中で印象的だった授業を教えてください。
E.N.さん レーズンの天然酵母からピザ生地を作った、理科の授業が印象的でした。時間が経つにつれて酵母の音や香りに変化を感じられるところも面白かったです。
S.H.さん 美術の授業で、ピザの完成を想像しながら具材やロゴについてグループで話し合ったことが印象に残っています。ピザ作りを通して、クラスメイトとの仲がとても深まったと感じます。
各教科のつながりは感じられましたか?
E.N.さん 社会ではピザの歴史、理科では天然酵母、英語では実際に作ったピザを販売するための接客を学び、ピザ作りという一つのきっかけから全てがつながっていくことを実感しました。
S.H.さん ピザのキャッチコピーやコンセプトを考える国語と、コンセプトからピザの完成図を描いてロゴを作成する美術に、最もつながりを感じました。
普段の授業との違いは感じられましたか?
E.N.さん 普段の授業よりも、生徒同士のコミュニケーションが多かったです。自分の意見だけでは完成しないテーマだからこそ、お互いの考え方や意見を尊重しながらグループとして一つの答えを見つける必要があり、自分にはないアイデアも出てきて面白かったです。さまざまな考え方をもっと知りたいという気持ちが湧くような、新しい授業でした。
S.H.さん 教科書がなく、自分たちでキャッチコピーやコンセプトを生み出すことから始まる点に、普段の授業との違いを感じました。教科横断型授業は、先生から正しいことを教わるのではなく、グループワークがメインです。それぞれの生徒が異なる考えを持っているので、意見がぶつかることもありましたが、新たな考え方を知る良い機会になったと思います。
ピザ作りを通して、自分の中で変化したことはありますか?
E.N.さん
もともとコミュニケーションを取ることに苦手意識がありましたが、自分から積極的にコミュニケーションを取りたいと思えるようになりました。英語の授業で接客を体験し、商品の魅力が相手に伝わってはじめて買ってもらえることや、クラスメイトの個性豊かな接客に面白さを感じたと同時に、コミュニケーションの大切さも学んだためです。
また、現在受けている授業は全てつながっていて、社会に出てから役に立つのだと思えるようになり、勉強へのモチベーションが上がりました。
S.H.さん
「どうしたら自分たちのピザを食べたいと思ってもらえるのか」を考えながらコンセプトを決めたり、スライドにまとめて発表したりしたことで、プレゼン方法への興味が湧きました。ピザに限らず「この商品を選んでもらいたい」「自分の想いを伝えたい」と思ったときに適切な行動やプレゼンができるように、これから本をたくさん読んで学びたいと思います。
特に英語を使った擬似接客では、みんなに注目される緊張や英語の難しさを感じて、より英語の勉強を頑張ろうと思えました。

生徒と先生がつくる温かい学びの輪
受験生に向けてメッセージをお願いします。
E.N.さん 東京家政大附属女子は、生徒の意見や「伝えたい」という想いに応えて動いてくれる優しい先生ばかりで、みんなの笑顔が溢れていて自然体でいられます。緑豊かな広い校舎で、お気に入りのポイントが見つかるはずです。
S.H.さん 先生は熱意があり優しく、常に生徒のことを考えてくれています。先生も生徒も仲が良く、楽しい学校生活を送れるところが東京家政大附属女子の魅力です。「ピザ作り」の教科横断型授業もとても楽しかったので、ぜひ体験してもらいたいなと思います。

編集後記
より充実した授業を日々模索する先生からは、物事を多角的に考える習慣や、進路を決める際のきっかけを生徒に与えたいという熱意と愛情を感じました。
同校では楽しさと学びを両立させながら、将来へ結びつくような学習環境が数多く用意されています。こうした日々の学びや体験を通して、将来の目標をぜひ見つけてください。
イベント情報
※詳細・お申し込み・下記以外の入試イベントは公式サイトよりご確認ください。
イベント名 | 実施日 | 備考 |
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第1回学校説明会 | 2025年6月22日(日) 10:00~ | 小3~6対象 学校説明・施設見学・スクールランチ体験(事前予約) |
第2回オープンスクール | 2025年7月20日(日) 10:00~ | 小3~6対象 生徒や先生と一緒にものづくりやアクティビティを体験できるプログラム |
第3回オープンスクール | 2025年7月26日(土) 9:00~ | |
第4回オープンスクール | 2025年7月26日(土) 13:00~ | |
第5回オープンスクール | 2025年8月2日(土) 9:00~ | |
第6回オープンスクール | 2025年8月2日(土) 13:00~ | |
第2回学校説明会 | 2025年9月6日(土) 14:00~ | 小3~6対象 学校説明・施設見学・スクールランチ体験(事前予約) |
第3回学校説明会 | 2025年10月4日(土) 14:00~ | |
緑苑祭 (文化祭) | 2025年10月25日(土)・26日(日) 10:00〜16:00 | 一般公開 ※入試相談室を開室 |