これからの女子教育に必要な「デザイン思考×デジタルものづくり&マネジメント」の学び

なぜ今、女子教育において、アイデアをものづくりやビジネスにつなげる「デザイン思考×デジタルものづくり&マネジメント」が必要なのでしょうか。
山口先生
AIが急激に進化する中、データの処理や定型的な業務はAIが代替できる時代になりました。しかし、ゼロからアイデアを生み出す「創造力」だけは、人間にしか持ち得ない力です。これからのビジネスでは、直感やセンスも活かして新しい価値をつくり出す力が核心となります。
特に新商品開発では、女性の「こんなものが欲しい」というインサイト(思い・直感など)が、新しい市場につながる場面も少なくありません。この女性ならではのアイデアにデザイン思考をかけ合わせ、具体的な形にする手法を学ぶことは、社会で活躍するための強力な武器になります。
また、技術の進歩によってものづくりのハードルは下がり、現代は「何をつくるか」が問われる時代です。アイデアを形にする力を持てば、起業して「自分たちで仕事をつくる」というキャリアも現実的な選択肢になります。
貴校が目指す新しいデジタル人材とは、どのような人材ですか。
山口先生
単にITを使えるだけでなく、自らのアイデアを形にし、新たなビジネスを生み出せる人材です。
「デジタルものづくり」では、3Dスキャナや先進的な3Dプリンターなどの先端技術を活かし、アイデアを具体的に商品化するプロセスを経験します。これにより「私にもつくれる」という自信が生まれ、ゼロから形にする面白さに気づけるようになるでしょう。
また「デジタル経営」では、先端ICTを用いて生きた数値を動かし、リアルタイムで分析・判断する現代的な経営の視点を養います。財務や経理といった数字のセンスと先端ICTを組み合わせることで、「情報の学びはビジネスに直結する」と実感でき、これからの社会で必要とされる経営サイドからみた多角的な視野が身につきます。
生成AIを“アシスタント”に、発想を形にする授業へ
生成AIは、どのような場面で活用していますか。
山口先生
全教科のあらゆる場面で活用しています。
例えば社会科の歴史では、歴史的決断の背景をAIで多角的にシミュレーションします。「もし別の選択をしていたら?」とAIをアシスタントに仮説検証することで、複雑な経営的・政策的判断をリアルに学べるようになりました。語学学習では、自習用にAIで模擬テスト問題を作成させたり、発音の修正を求めたりすることで、個別最適な自学自習ができます。
思考を広げるアシスタントとして活用し、それぞれの分野の専門家である教諭たちと一緒にAIの誤りを見抜く力も含めた学びを行っています。

「AIとの付き合い方」で大切にしていることはなんでしょう。
山口先生
AIとの付き合い方において最も大切にしていることは、その人が最初に思った「意見」や感じた「感覚」を尊重することです。
それらがたとえ断片的であったり、不完全であったりしても構いません。なぜなら、そこにこそ、その人特有の個性やオリジナリティが宿っているからです。この個性の断片を形にしていく過程を大切にしないと、生徒たちが本来持っているオリジナリティが失われてしまいます。
AIは非常に便利ですが、任せきりにすると「一般的に正解とされる無難な結論」に落ち着きやすく、結果として誰が発信しても同じような意見になってしまうという課題があります。
だからこそ、AIに頼る前に「私はこう思う」「こうなのではないか」という自分自身の視点から始めることが重要になります。そうすることで、その人ならではの考えをさらに深掘りしていくことができ、個性やオリジナリティを強く発揮することができるのです。
考えが不完全であったり、時には間違っていたりしてもいいのです。「私はこう思い、こう感じている」という、自分の中から生まれる最初の一歩を何よりも大切に育てるように全教職員で心がけています。
ICT環境のアップデートや、新たなプログラムについて教えてください。
山口先生
今年度の最大のアップデートは、「創造性教育」と「デジタルものづくり&マネジメント」を融合させたプログラムの本格始動です。その核として、新たに世界最先端の光造形型3Dプリンターと3Dスキャナーを導入しました。また情報科目を拡充しました。
多くの教育現場では、CADを使ったコンピューター上での製図などの操作習得に時間を割きがちですが、本校は実社会の商品開発と同様に、感性や触感といったアナログの要素も重視します。先進テクノロジーを使って直感的なアイデアやイメージをデジタル化して形にする「プロの手法」を体験させ、豊かな発想を具現化する環境を整えています。
また、生成AIとプログラミング教育を融合させて、実際にビジネスを行う事業化実習と連携することでデジタル経営の視点を身につけます。
事業化実習で育つ、試行錯誤しながら価値を生み出す力
高校2年次の「事業化実習」では、生徒がチームで模擬会社を立ち上げ、オリジナル商品を開発します。

事業化実習では、生徒たちはどのような壁に直面しやすいですか。
山口先生
生徒たちは「一般的な正解」を探すことに慣れており、常識や流行に縛られてオリジナリティを出せない壁に直面します。情報収集に偏り、自身の創造性や好奇心にリミッターをかけてしまうことが大きな課題です。
しかし、デザイン思考で顧客や自分たちの本質的なインサイトに徹底的に向き合う中で、そのリミッターが外れる瞬間が訪れます。すると「自分はこれが面白い」「こうすれば顧客に響く」と、主体的かつクリエイティブな意見をチームで交わせるようになります。本質を捉えた後は、顧客が納得するまで自ら試行錯誤を重ね、ビジネスを形にする実践力が育っていくのです。
貴校がこれほど高度な教育を実現できる背景には、どのような強みがありますか。
山口先生
「世の中で役に立つ人を育てたい」「創造性と起業家精神を持ち、新しいことを始められる人を育てたい」という思いは、創立100周年を迎えた本校の創立時からのDNAで全校に根付いています。全教員が一丸となって取り組んでいることが、大きな強みです。
また、創造性教育やデザイン思考の分野で日本を牽引する東京科学大学の廣瀬名誉教授や齋藤教授にご協力いただき、世界最先端の手法を中高の教育に反映できることも、他校にはない大きな特長です。

最後に、受験生へのメッセージをお願いします。
山口先生
創造性や起業家精神、先端技術を使いこなし、アイデアをビジネスへつなげていく。その土台を本校で築いてもらえたらうれしく思います。
8月1日、2日の夏のオープンスクールでは、新世代の学校の姿を、ぜひ親子で体感しにお越しください。
編集後記
生成AIやICTを使いこなすだけでなく、自分の直感や違和感を大切にしながら、新しい価値を形にしていく瀧野川女子。デジタルものづくりや事業化実習を通して、生徒たちは「自分にもできる」という実感を重ねます。好きなことを将来につなげたい受験生にとって、同校の学びは大きな刺激となるでしょう。
イベント情報
| イベント名 | 日時 |
|---|---|
| 学校説明会&授業体験会(対象:小学3年生〜6年生) | 2026年7月4日(土)9:30~12:00 |
| 夏のオープンスクール(対象:小学3年生〜6年生) | 2026年8月1日(土)、2日(日)9:00~12:30 |












